アーク・ノヴァは重量級カードゲーム
プレイし、読み解く価値を感じたので記事化する


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(1)基本情報

(2)おおまかな長短所
 ①場当たり的なカードプレイ

 ②動物を出す大変さと気持ち良さ

 ③得点差がハッキリ見えすぎる

 ④保全計画(マイルストーン)の実装がとても良い

 ⑤テーマ再現の細かいアラ
 ⑥2人◎、3-4人はテンポ△
(3)考察:テラフォの有機的なタグネットワーク,無機的/均質的/人工的なアークノヴァ
 ①タグネットワーク

 ②ハブ
 ③同じ効果の使い回し
 ④越境的なカードの不在
(4)おまけ:カードの解剖
 ・212枚の組成
 ・後援者
 ・保全計画
 ①爬虫類 10点

 ②肉食動物 8点
 ③鳥類 7点
 ④霊長類 6点
 ⑤ふれあい動物 5点
 ⑥草食動物 4点 
 ⑦研究タグ
(5)総評



Ark Nova (2021)
Designer Mathias Wigge
Artist Loïc Billiau, Dennis Lohausen, Steffen Bieker, Christof Tisch
Publisher Feuerland Spiele + 10 more



(1)基本情報

人数:1-4人(ベスト2人)
時間:90-150分 
複雑性:3.73 (参考値:アグリコラ=3.64,黒ブラス=3.86)
ランク: 37位 (2022/4/11)
要素:シヴィライゼーション:新たな夜明け式のハンドマネジメント、テラフォーミングマーズ式のタグ付きユニークカード、ガンジスの藩王式の勝利点トラック、マグナストーム式のワーカー管理、ポリオミノ式箱庭個人ボード、動物園経営
言語依存:とても強い
流通:テンデイズゲームズより日本語版が発売中


デザイナー:
マティアス・ウィッジ(ドイツ読みだとヴィッゲ)は本作がデビュー作のドイツ人デザイナー

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(2)おおまかな長短所

①場当たり的なカードプレイ


デッキからツモったカードと売り場に並んだカードに応じて柔軟に動く必要がある
長期的な展望を持って初志貫徹する意志力を要する作品ではなく、変化していく状況への対応力が求められる

「場当たり的だ」となぜ感じるかだが
本作の数字感としては、
・212枚のデッキから
・ゲーム中30-40枚見れて
・最終的に15-20枚プレイ


比較対象として、テラフォ(基本セット)だと、
・208枚のプロジェクトカード
・40-60枚見て
・10-30枚プレイ

本作とかなり近い


ウイングスパンでは、
・170枚の鳥カード
・20-30枚見て
・10-15枚プレイ

両作よりもいくらか枚数を絞った印象

本作はテラフォと比較されがちであり、枚数の感覚もテラフォ寄りなのだが
プレイ感はウイングスパンに近い
テラフォもまあ言ってしまえば行き当たりばったりなゲームなのだが、「カードを出さされている感、やらされている感」はあまり感じない
カードプレイ以外の重要な得点手段として標準プロジェクトが用意されているからだ
また不要カードを引いてきても、3金払って予約しないかぎりは手札に入らない
また、ドローしてしまった不要牌は1金で売れる
プレイヤーの意志でカードを購入しており、「手札に来てしまったカードをとりあえず出さされている感」はかなり感じにくい

本作やウイングスパンは、動物カードや鳥カードを出す以外のルートを用意していない
出すしかないが
そんなにたくさん引けないし、引いてしまったカードは場に出さないかぎり手札で腐り続ける
手に入ったカードを良い感じで出していかざるを得ず、手なり感が生じる

ガチャを引かせて場当たり的に立ち回らせるのは今の売れ線ではある
それ自体は特に問題はないと評価する
アルナックの失われし遺跡(2020)やビヨンド・ザ・サン(2020)でも同じようなことを書いたが
・正解を見つけづらい
・経験者と初心者が混ざってもわいわい楽しめる
・最後まで勝ち負けがはっきりしづらい

あたりはガチャ感/場当たり感の強いゲームの明白な長所

②動物を出すまでの大変さと気持ち良さ

動物カードは、
・引いてくる(ドローアクション)
・2-10金支払って囲い地を用意する(建設アクション)
・7-30金支払ってカードプレイする(カードアクション)

と、これだけ手を尽くしてようやく場に出せる
個人ボードに囲い地を用意させるポリオミノパズルは、テラフォやウイングスパンにはなかった大きな差別化点

動物を場に出すと、
即時効果を得る(ドローやお金など)
勝利点トラックを進める

上記の効果を得る
勝利点トラックはブラスや蒸気の時代の収入トラックとほぼ同じ
上げれば上げるほど収入が増える
が、途中からレートが悪くなる
最初は2マスで1金収入が増えていたのが、最終的には4マスあたり+1収入にまで落ち込む
累進課税みたいなもので、際限のないインフレと勝者の独走を止める古典的な優れた策だ
とても有効に機能している

頑張って下準備
→動物を出して収入を増やす
→増やした収入を使ってまた準備
→動物をもっと出す

このフローはシンプルで楽しい

③得点差がハッキリ見えすぎる

勝利点(訴求点)と保全点を、いわゆる「ガンジスの藩王」方式で管理している
勝利点トラックと保全点トラックが逆さ向きで合体しており、両トラックのコマを交差させるだけ得点すると終了トリガーが引かれる
ガンジストラック、メリットも多いのだが、唯一致命的な欠点がある
ボロ負けしている人間があまりにも目立ってしまうのだ
マルチゲームを除くほぼすべてのゲームにおいて、現代のデザイナーはゲーム中の順位を隠したがる
トップ候補者には適度に緊張を保持させ、最下位候補の気持ちも切らさないためだ
テラフォもウイングスパンもゲーム中の順位隠しに細心の注意を払っている

ガンジストラックを採用するかぎり順位の可視化は避けがたい欠点であり、仕方ない部分はある
ゲーム終了後の小さな加点を設けており、「トリガーを引くとほぼ勝ち、でも追加点でワンチャンあるよ」くらいに隠す意図が感じられる
なお、2人戦なら合意が得られれば投了アリにするとほぼ問題は生じない

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Rajas of the Ganges | Image | BoardGameGeek


④保全計画(マイルストーン)の実装の美しさ

ゲーム開始時に3-4枚の基本保全計画カードが公開される
テラフォの褒章、ウイングスパンのラウンド目標みたいな感じだが、よりアレンジが利いている
「オーストラリア地域タグを2/4/5個集めると2/3/5保全点獲得」
的なよくあるやつなのだが
達成した上で1手費やすと、
個人ボードのキューブ1個をカード上に移せる
キューブを移動すると、1ドローや5金などのボーナスが即座にもらえ、以降毎収入フェイズでももらえる
収入フェイズは、細かい話は省くがゲーム中4-5回生じる
いわゆる収入のアンロック、バラージやテラミスティカの建物収入に近い
また、一度キューブを置いてしまうとその保全計画カードに2個目は置けなくなる
「収入のために一刻も早く置きたいが2保全点はしょっぱい、もうちょっと引き延ばして5保全点を狙うか……?」
の悩ましさはなかなか楽しい

また本作、ほぼソロゲームだが、この保全計画をめぐってのレースだけはかなりガチだ
同じカードでの最速狙いで競り負けると立て直しがほぼ不可能なので、前もってプランBを用意したり、早めに方針を切り替える判断が求められる

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12枚の基本保全計画カード。ゲーム開始時3-4枚ランダムピックし使用。

⑤テーマ再現の細かいアラ

「動物園を経営し、自分の箱庭を豊かにしていく」という大枠はとても好ましいが、細かい部分で疑問が残る
アラ探しマンになってしまい恐縮だが、以下筆者にとって腑に落ちない要素を列挙する

・カード売り場とは何なのか(動物をどこかから買ってきているのか)
・各プレイヤーの動物園は同じ国や地域にあり競争しているか、バラバラだが対立しているのかどっちなのか
噛み付きをすると売り場から1枚取れるが、噛み付きとは何なのか
・噛み付き以外にも、動物の特徴に応じたボーナスアクションが生じるのはなぜなのか(園内で飼育された動物が、どういう原理で売り場や手札に干渉するのか)
・そもそもカードを売り場から取る、山からガチャ引きするとき、プレイヤーはテーマ的に何をしているのか
学術ポイントを高めると売り場のカードで選べるものが増えるのは何なのか(鑑識眼のようなもの?)
・手札にあって未プレイの動物はどういう状態なのか
・個人ボードの動物園感のなさ(来場客の通路がない、動線がイメージできない)
・園内に囲い地を作るともらえる即時ボーナスの取ってつけた感(誰からなぜそのボーナスがもらえるのか不明瞭)
・なぜ特定のアクションで休憩トラックは進み、そうでないものでは進まないのか
・休憩とは何なのか(年度替わりの決算じゃだめなのか)
終了トリガーが引かれたとき何が起きているのか、なぜそこでゲームが終わるのか
・なぜ爬虫類と鳥類だけ専用の建物が用意されているのか

このあたりの疑問は、たいてい記事作成中のテーマ下調べで解消、自己完結できることが多いのだが
本作ではほぼ分からなかった
このあたりの細かい作り込みにデザイナーの狂気は表れる、またその有無が傑作と佳作とを分かつと筆者は評価する


⑥2人ベスト、3-4人はテンポ×

・けっこうなダウンタイム
・かなりの物理的スペース(体感拡張込みオーディンと同程度)
・インタラクションあるっちゃあるが、多人数戦で魅力が深化するわけではない

上記より2人戦で魅力を最も感じやすい


(3)考察:テラフォの有機的なタグネットワーク,無機的/均質的/人工的なアークノヴァ

本作、総じて高く評価している
単なる先行作のキメラでなく、きちんと新要素も盛り込まれている
が、本作のカードプールにはあまり魅力を感じない
なぜなのかを本節では掘り下げる
なお筆者の言語化能力をやや超えた話題で、普段以上に読者に負荷がかかる可能性がある

①タグネットワーク

本作ではカードがタグ(アイコン)を持っている
たとえばエリマキトカゲは、
岩場の地形タグ
爬虫類の動物タグ
オーストラリアの地域タグ

の3種を持っている

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タグ同士が距離感を持ってカードプールに配置された状態を本節ではタグネットワークと呼ぶ
また、その手のタグ付きユニークカードをプールに持つゲームを、タグネットワーク型のゲームと呼ぶ
アークノヴァとテラフォがそれに該当する
広義では、上杉さんのペーパーテイルズマグノリアも含まれる
さらに広く取るなら大半のTCGも該当する

筆者にとってテラフォの最大の魅力はタグネットワークの構造美にある
反対に、本作のタグネットワークはやや凡庸で、面白みに欠ける


②ハブ

テラフォの構造的特徴は、
・複数のタグをまたぐ、越境的な、ネットワークのハブになる一部の強カード
・ネットワークの末端を形成する大半の雑魚カード
・これらが混在し、メリハリがある
有機的な、ネットワーク理論に即した活きた配置




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この画像の右側がテラフォのタグネットワークだ
ハブとなる黒丸は地球カタパルト、AIセントラル、ガニメデ・コロニー、極地の藻類あたり

(画像:The random network and scale-free network. (A) Random network follows... | Download Scientific Diagram (researchgate.net)より)

アークノヴァの場合、
・5種の動物タグ、5地域があまりに均質
・複数の地域、複数の動物を越境するようなカードがほぼない
・すべてが等間隔に配置されていて、ハブがない
無機的で、等質で、消毒された、単にランダムな死んだネットワーク

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この画像のいちばん左がアークノヴァだ
Regular, random, small-world and scale-free networks | Download Scientific Diagram (researchgate.net)



スケールフリーネットワークという理論、構造の読み解き方がある
平たく記すと、「社会はハブ(他のたくさんの要素と接続する中心点)がある前提で観察した方が理解しやすい」というもの
SNSのハブはインフルエンサー
アカデミアのハブは被引用数が化け物じみて多い論文

参考リンク:
ハブが壊れても機能が維持されるネットワーク | 東京大学 (u-tokyo.ac.jp)

参考書籍:
スクエア・アンド・タワー: ネットワークが創り変えた世界
意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論

それぞれ、「ネットワーク理論を使って世界史を読み解く」「ネットワーク理論を使って意識をめぐる謎に挑む」をやっており、具体的、プラグマティックで門外漢にもそこそこ読みやすい

同理論のtipsはゲームデザインにもわりと当てはまる
ハブ(シナジーの中心をなすぶっ壊れカード)がゲームにメリハリと彩りを与える


アークノヴァにもハブらしきものはあるのだが、十分な機能を果たしていない

タグは、
・爬虫類
・鳥類
・肉食動物
・草食動物
・霊長類

の5個のメイン動物種

・クマ
・ふれあい動物

の2個のサブ動物

・アメリカ
・ヨーロッパ
・アフリカ
・アジア
・オーストラリア

の5地域

・研究
・岩場
・水辺

の3種の周縁的なタグ
で、合わせて15種

テラフォは13種、大差ない

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③同じ効果の使い回し

本作、動物には即時効果しかついていない
永続効果がついているのは後援者カードで、彼らがハブ、各タグのリーダー的役割を担う
これがあまりに平板だ

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上写真の23枚がリーダーになりうる強カードなのだが、
助成金:〇〇 1/3/5アイコンあるなら収入フェイズで3/6/9金

〇〇学者 自分か相手がアイコン出すたびに3金
〇〇の生息地 アイコン出すたびに固有能力j
〇〇の展示 アイコン出すたびに2勝利点

土着の〇〇 個人ボードの進捗に応じて小さな即時勝利点
この5つの効果を使いまわしている
これについてはあまり好みでない

MtGの5色サイクルみたいに、1-2セットだけ使うなら全然良いが
全部でこれをやられると、あまりワクワクしない

なお擁護すると、後援者カードのコストは、
・3-6のプレイコスト(4段階)
・「プレイに研究タグが必要」などのプレイ条件

でしか差異化できない
動物カードは7-30金までと画素数を多く取った分、後援者カードのコストはシンプル目に寄せている
そのためヴァリエーションを持たせづらく、派手な効果を実装しづらい


④越境的なカードの不在
越境的transboundaryであるとは、"そのカードが複数のアーキタイプにおいて使える"*さまをここでは指す

参考文献
【ドラフト】『ゼンディカーの夜明けリミテッド大考察(序文)』|Zombie|note

テラフォだと、ガニメデ・コロニーが典型的な越境カード
木星タグはサターンシステムズを中心とした盤外ルートと相性抜群
都市タグはタルシス共和国をはじめとする盤面戦略ともシナジーを持つ
20金ちょうどのプレイコストはクレディコー(20コスト以上支払うたびに4金キャッシュバック)にうってうけで、また浪費王の褒章(20コスト以上のイベント以外のプレイ枚数)にも絡める
雑なたとえだが、ポケモンの対人戦におけるガブリアスのような汎用的な美しさがある

アークノヴァの後援者は、ガニコロ並みの壊れカードもあるっちゃあるのだが、複数のタグにまたがらない
タグ同士を架橋するカードがないと、なんというか、カードゲームではないというか
虚無感が強い

肉食動物は肉食動物で、爬虫類は爬虫類でそれぞれ干渉しあわずビルドを作っている


動物タグと地域タグの関係性もとても平板だ
爬虫類、鳥類、肉食、草食の4種は各25枚あるのだが、単に5地域が5枚ずつ入っている
無難に置きに行っているというか
・デザイナーの意図
・動物園に対しての思想
・ゲームをどう運ばせたいかのオリエンテーション(方向づけ)

が見えてこない
こういう構成は、センチュリースパイスとかスプレンダーとか

小さめのゲームなら全然良い
が、こういった大きいサイズにはやや不適だと感じる
MtGの新弾で、「5色の全コモンクリーチャーのスタッツを統一しときました」くらいの暴挙に見える

ただし、「無難に平たく、偏りなく動物を取り揃えました」感は、一昔前の20世紀的な動物園っぽさが感じられなくもない
無機質な、sanitize(消毒)された檻で、生気のない動物を展示する
本来色鮮やかで多様な生物を、均質な灰色のコンクリートジャングルに収容する
行動展示なんて発想がまだなかった時代の動物園

そういうシニカルなテーマ再現をやっているようにも捉えられる



(4)おまけ:カードの解剖

上記、とても悪しざまに記してしまったが、めちゃ面白い良作であるので、掘り下げて解剖する
以下数字の話が続き、未プレイ者に不適なため読み飛ばし推奨

212枚のカードの組成
64枚=後援者
20枚=保全計画
25枚=爬虫類、鳥類、草食、肉食(全100枚)
18枚=霊長類
10枚=ふれあい

後援者カード 64枚
「今後鳥類アイコンを場に出すたびに2枚引き、1枚を手札に加える」など、プレイヤーに永続能力を付与する
テラフォでいう初期企業や青の能力系カード
・ほぼ無料で出せる
・終盤若干腐る
・全体のほぼ30%、初期手札8枚中2-3枚
上記特徴からMtGの土地に役割は近い
「最初に引いた2-3枚から指針にできる1枚を選んでね」的な

保全計画カード 20枚 
テラフォでたとえると、「褒章要素をデッキ内にも入れた」にあたる
記事前半で少し記したが、マイルストーン達成によってボーナス収入と保全点がもらえる
全プレイヤー共通の基本保全計画では、どうやっても2-3回目の収入にしか間に合わないのだが
デッキ内の保全計画カードを使うと超早期(1回目の収入の前)に達成できる場合がある
具体的には野生復帰カード11枚がそれにあたる
野生復帰=自分がすでに出した動物カード1枚を破棄して保全計画を達成
クランズオブカレドニアの、牛肉や羊肉を屠殺して達成する契約に感覚は近い
フレーバー的には、動物園から野生に返すことでCSR的な名声を得ている
屠殺と保護は本来真逆のムーブ
だが、ゲーム的には等しくエンジンを切り崩して勝利点に変換する挙動であり、プレイ感が似てしまい、皮肉な面白さが生じている

動物カードで得た収入を返さないといけないのだが、場に出したときに得た即時ボーナスは返さなくていい
よって、登場時効果が強めの動物をうまく野生復帰できると気持ち良い
一生MtGでたとえて恐縮だが、ETB(場に出たときの能力)を使いまわせたときの感じに近い
全体の9.5%、前述の11枚に絞ると5%
あまり多く引けてしまっても使い道がないため、数を絞っている


以下6系統の動物種について10点満点でレーティングする

①爬虫類 10/10点

枚数 25枚
平均コスト13.1 (プレイに必要なお金)
平均サイズ 2.2 (囲い地のサイズ)
合計コスト(平均コスト+平均サイズ×2) 17.5
水辺8枚 (タグを持つ枚数)
岩場5枚 (タグを持つ枚数)
得点 5.04 (勝利点)

【後援者カード(10点満点でレーティング)】

ウミガメの水槽 10点
爬虫類を出すたびに日光浴2*の効果。中盤余りがちな手札の変換先としてただただ優秀。エグい安定感。無条件なのもえらい、どうかしている。
*手札1枚を捨て4金、もしくは手札2枚を捨て8金を得る

助成金:爬虫類 9点

爬虫類学者 7点

土着のトカゲ 4点
無料で爬虫類タグ1個はそこそこ有用。

【Overview】 
平均コストが最も安く、展開しやすい
日光浴持ちが5枚おり、金も尽きづらい。
攻撃系が7枚(締め付け3枚、毒2枚、催眠2枚)ある、狡猾なヘビのイメージからか。本作の攻撃効果は大して強力でなく、やや空気。
後援者は4枚、ハブになりうるのは3枚と少なめ。強すぎるためのバランス調整と思われる。

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②肉食動物 8/10点
25枚 
平均コスト 14.4
平均サイズ 3.0
合計値20.4
水辺5枚
岩場4枚
クマ 6枚
得点 5.56

【Overview】
4枚ある群れ*で得点を重ねるムーブがとても強い。
後援者カードは4枚、平均的。
*群れ 肉食動物アイコン×1勝利点を獲得。

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③鳥類 7/10点
25枚
平均コスト14.56
平均サイズ 3.0
合計値20.56
水辺4枚
岩場3枚
得点 5.24
鳥類館に入る11枚/入らない14枚


Overview
平均的。
カード構成はドロー10枚(腐肉食5枚、知覚力3枚、疾走2枚)、建設系が10枚(気取った姿勢5枚、乗数トークン2枚、その他3枚)と、ドローと建設ボーナスが目立つ。
後援者カードは5枚と多めに刷られている。
鳥類館に入れられるのは11/25枚と半分以下であり、注意が必要。

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④霊長類 6/10点
18枚 アメリカ、アジア、アフリカが各6枚。ヨーロッパオーストラリアはゼロ
平均コスト 15.5
平均サイズ 2.7
合計値20.9
水辺1枚
岩場3枚
得点 5.8


Overview
後援者カードは5枚と多く、プレイ条件も他種族よりほんの少し軽い。
18枚という枚数の少なさを後援者パワーで補っていると思われる。
ヨーロッパとオーストラリアの基本保全計画がない場であれば全然目指して良いと思われる。

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⑤ふれあい動物 5/10点 
10枚
平均コスト 7.0
平均サイズ 1.0
合計値 9.0
得点 0

【Overview】
10枚の全カードが、「自分の場のふれあい動物枚数×3勝利点」の効果を持つ。
ブルゴーニュの城の牧場(同じ動物で固められればめちゃ点伸びる、かなりキツい)と同コンセプト。
地域アイコンを持たないのが最も手痛い。
序盤からふれあいをやると基本保全計画レースからオリることになる。

コスト試算すると、
1  15金 3点
2  22金 9点
3  29金 18点
4  36金 30点
初期手札8枚中、もし2枚見えてるなら取って良さそう、1枚だと厳しいか。

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⑥草食動物 25枚 4/10点 
平均コスト 17.8
平均サイズ 3.16
合計値24.12
水辺4枚
岩場4枚
得点 6.24
クマアイコン3枚

Overview
平均コスト、平均得点ともに最大。
本作のゲーム特性上、
・軽量クリーチャーを重ねてタグ集め→保全計画達成 が雑に強い
・ドローが比較的ラク

であることから、パワフルな1枚をドーンと出すタイプの草食動物には逆風。
ガチャ系カードが4枚(基本保全計画2枚、最終得点2枚)あるのも打点の高さを生んでいる。
やや使い勝手が悪い分、後援者カードは全部で5枚と、他タグより優遇されている。

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⑦研究タグ -/10点
13枚あり、後援者カード64枚中約20%を占める。
動物カードではないのでレーティング外とした。
全てユニークカードで効果とフレーバーが噛み合っており、ここの作りはとても好感が持てる。
ビルドとしての強さは、ふれあい同様基本保全計画のタグレースに出遅れるためあまり信頼できない。
集めれば化けそうなポテンシャルは感じられる。

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(5)総評

遊ぶ価値のある良作だ
テラフォやウイングスパンの下位互換ということは絶対にない

・2人プレイでもとても収束性が良い
・序盤から最終盤まで、常に1手1手が悩ましい

このあたりはテラフォと比べての明白な長所だと評価する



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