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慶應HQの新作

非常に面白かった、本当に面白かったので以下にレビュー記事を載せる
また、近日中に制作者へのインタビューをアップする見込み


慶應HQは『Improvement of the POLIS』、『マルシェ・ド・フランス』などを出している慶應大のボドゲサークル
以下記事も参照


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あまり遠くない未来、人工知能の技術が発展する
作業ロボットやアンドロイドが発明され、人類は単純労働から解放されていく
2018年から2048年ごろまでの近未来、AI革命の時代を描く
ライで冷たく無機質なテーマであり、それが淡々としたプレイ感とうまく合致している


【最初に】
このゲームはネタバレなしでプレイした方が楽しい可能性が高い
本記事では、記事後半にがっつりネタバレが入る
本格的なネタバレに踏み込む前に再度警告文を載せるが、プレイされる予定の方は一切読まれないか、適当なところでブラウザバックするのが良いかもしれない

【プレイ時間、難易度、適正人数】
時間:3時間(初プレイ、読みインスト40分程度、3人戦)
難易度:ちょっと難しめ テラフォーミングマーズと同程度の複雑さ
適正人数:4人ベスト(3~4人)


【プレイ感】
完全公開情報、運要素なし、スタート時の差もなし
2時間1本勝負の本格派重ゲー
易しいゲームではない
借金が終盤まで返せない上に、勝利に向かうためにさらに借金を重ねてAI研究をするハメになる
勝ちを急ぎすぎると破産するが、足を緩めるとAI研究で出遅れて余計きつくなる
厳しいレースゲームだと筆者は捉えている
また経済系ゲームであるため計算が多く、ダウンタイムも長い
全体として『フードチェーンマグネイト』のプレイ感にかなり近いものがある

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フードチェーンマグネイト
ハンバーガーショップやピザ屋を経営し、ライバル店としのぎを削る
ときに安売り攻勢をしかけ、ときに広告合戦をし、ライバル店の隣に出店攻勢まで仕掛ける
とにかくキツく、重いが、いろんなことができてとにかく楽しい
ただ少ないパイを奪い合うゲームなので、誰かがトップ目になると、必ず誰かが沈んでいく


筆者にとって非常に魅力的なゲームだったが、いくつか難点やプレイしづらさがある
遊ぶ人間を選ぶゲームだと感じる
しかし、これらの瑕疵を補って余りあるだけの魅力も有している

本記事では
・前半部分でこのゲームの短所をすべて挙げきり、どういうプレイヤーには勧めやすいかを記述
・後半でテーマにクローズアップし、魅力を描写する

という形式を取る

【いくつかの難点】

①逆転要素が少ない
逆転できない!
一度沈んだが最後、他プレイヤーがミスってくれないと1位争いに復帰するのはかなり難しい
潰し合い、殺し合いの感覚は『フードチェーン』ほど激しいものではないのだが、1アクションの重要性がただただ大きいのだ
また、後述する収支計算がなかなか複雑で、不慣れな序盤に手持ち資金がショートしてしまう可能性もある
一度ショートしてしまうと、それを取り戻すのに丸々1ラウンド程度かかってしまい、差が広がってしまう


②情報量が多い
複雑!
パラメータが多い
ゲーム中の情報はほぼ完全公開なのだが、各プレイヤーのアクションによって物品の相場変動が起こる
今何をやるべきなのか
このアクションをやると場にどういう影響がもたらされるのか
そういったところを読み切るのはなかなか難しい
ただ、個人的には前作の『Improvement of the POLIS(IOTP)』と比べると場全体の見通しは良くなったと感じる
IOTPでは相手の手元に小さいテキストで書かれたカードがたくさんあって、相手の場の状況が把握しきれなかった
今作では文字情報はかなり少なく、戦局を理解しやすい


③ダウンタイムが長い
長い!
プレイヤーに依存するものもあるが、ダウンタイムを生みやすいラウンドの構造となっている
手番プレイヤーが収入、購入、メインアクション を全部やってから次の人に手番を移る
全部やってから次の人、という流れなので、まあなかなか回ってこない
また、②の完全公開情報という特徴とあいまって、プレイヤーによっては先々の展開まで読もうとしてしまう人も出るかも
そうなると長考が入り、ダウンタイムはますます延びる
ただ、相手のアクション中は本当に一切やれることがないので、楽と言えば楽

今時のゲームは、とにかくダウンタイムを減らそうと工夫している
同時解決のゲームも多い
今やボードゲームはデジタルゲームや他の趣味と競争して、人々の余暇の時間を奪い合っている
「どうやってプレイヤーの集中を以下に切らさないようにできるか」には、多くのボードゲームデザイナーは注意を払っている
ダウンタイムを減らすためにラウンドをぶつぎりにして手番を回したり、頻繁に全プレイヤーが関与するアクションを入れたりする

やや脱線したが、そんなご時世であるのに、『シンギュラリティ』ではそういった工夫は一切ない
びっくりするくらいない
安易な解決を入れない武骨な手触りを持っている
単なるディベロップ不足である可能性もあるが、こういった媚びの少ない作りについては筆者はいくらかの好感を覚えている


④計算が難しい
計算が多い、とにかく多い
小学生はまずできない
2ケタの足し算/引き算を各ラウンドで何回も行う必要がある
このあたりのプレイ感は『電力会社』に非常によく似ている
経済系のゲームの常ではあるが、一番人を選ぶ部分だと筆者は感じている
処理としては『電力会社』よりも少し煩雑


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電力会社
資源の購入、発電所の建設、収入を順に行う
資金の計画的な運用がカギとなる
ただし、オークションもあり、燃料価格もどんどん変動するため、計画的な資金繰りはなかなかできない


⑤個人ボードがズレやすい
お金や資源の概念があるゲームだが、お金トークンや資源コマは存在しない
プレイヤーの持つ現金、収入額、資源、労働者数、すべてを個人ボードでキューブを動かして管理する
『ガイアプロジェクト』やテラフォに近い
キューブの操作は位置ずれやミスがけっこう起きやすい
不正もやろうと思えばたぶん容易にやれる
ダブルチェックするのが無難と思われる


⑥ルール解読が難しい
ルールブック、読みにくくはないし、一度覚えてしまえば大して複雑ではない
ただ、もう少し見やすくできそうな余地は感じた
筆者らの卓は3人戦、全員初プレイであったが、ゲーム開始までに30~40分程度を要した
特に、
・このアクションをやると経済市場が上がる/下がる
の判別がちょっと難しく、ゲーム途中でも頻繁に確認を行っていた
中盤に経済市場が上がり続け、一時的にカンストしたのだが、「ほんとにこれで良いの?ルール誤認はないか?」とやや不安になった
(+/-で色を変えるなどがあると見やすかったのかもと感じた)


⑦借金がとにかく苦しい
マゾい!
ゲーム中、プレイヤーは毎ターン収入額を下げて借金をすることになる
収入額を下げることで、工場を建てて事業を拡大することができる
他ゲームだが『ポンジスキーム』並に気軽に借金を重ねていくことになる

たとえばケータイ電話工場の建設を例に出す
たとえば毎ターン4金を失う処理をすると、ケータイ電話の工場を建てられる
ケータイを1個作ると毎ラウンド12金くらい儲かるのだが、作るための材料もその都度用意しないといけない
材料工場を作るとまた借金額が増えて、毎ターンの損失も増える
工場を作らなくても良いのだが、その場合は毎ターン原材料を買ってくる必要がある
やはり利益は低くなる
なんだかんだあって、結局入ってきた12金はほとんどランニングコストに消えてしまう
うまくやっていてもこれだ
尋常でなくカツカツ
これがもし、しくじってちょっとでも経営をミスった場合すぐ破綻してしまう
こうしたギリギリの自転車操業をやっていくことになる

収入トラックがもし+になると定期収入が入るルールなのだが、まず+になるなんてことはない
ただただマイナスで低空飛行していく
筆者らの卓では最終ラウンドまで+のプレイヤーが生じることはなかった
収入の改善を狙おうとするとそのために手数を消費することとなり、AI研究レースの足を弱めることになる
逆に勝ちを急いでAI研究ばかり進めると、ゲーム終了時の勝利点は高まり優位にゲームを進められるが、進めれば進めるほど金喰い虫の知能労働者(ホワイトカラー)を雇うハメになる
勝利が近づくほどどんどん借金が増えて首が締まっていく

ただ研究開発で遅れを取るとそれはそれで苦しい展開が待っているので、足を緩めることもできない

このあたりのジレンマのなかで、序盤は借金レースをしていくことになる
ただ、中盤から時代が進むにつれ、プレイ感が変わってくる(後述する)

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【初プレイ時のプレイエイド】
一手が重くキツいゲームなので、進行中に致命的な問題が起きる可能性がある
そういう場合の対処案を以下に記す

「ミスしたので巻き戻したい」というプレイヤーが出た
→できるだけ巻き戻してOKでいこう
その方が最終的にみんな楽しくプレイできる可能性が高い
簡単なゲームではないので、だいたい1,2回はどこかでミスする
「ごめんミスった、さっきの変えたい」と宣言しやすい空気を作ろう

第1~2ターン目くらいだったら、卓の空気にもよるだろうが、最初からやり直しでもいいと思う
序盤にミスると、そのあと2時間もやもやして過ごすことになる

※『フードチェーンマグネイト』の初プレイ時についてのChocoxinaさんの記事は非常に参考となった
以下のリンクの3.4.を参考にこの項目を作成した

「お金がなくなってにっちもさっちもいかない」というプレイヤーが出た
→協議のうえで以下のような救済用のハウスルールを設けてもいいかもしれない
・即座に20金を得る
・このラウンド中、0金以下になってもOKとする
いずれかの救済効果を受けられる
各プレイヤーが救済効果を受けた数をメモしておき、ゲーム終了時それぞれが1回あたり10点減点を食らう


※このあたりからゲーム本編についてのネタバレが増え



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【テーマ】
ワーカーの解雇
これがシンギュラリティの最大のテーマである
ワーカーの存在意義や解雇について、ゲーム中にプレイヤーは様々なことを考える
いや、考えさせられる
考えさせるだけの装置がこのゲームには組み込まれている
はっきりしたテーマと、それをプレイヤーに追体験させる仕掛けを持っている
強いテーマ性とそれを忠実にシミュレートするメカニクスの安定感、これらが『シンギュラリティ』の最大の魅力の一つであると筆者は考える


筆者のセッションで生じたことをもとに序盤、中盤、終盤にわけ、細かく記載していく


①序盤 借金&事業拡大の時代
ゲーム序盤
借金しまくりのマゾゲーであった
マーティン・ワレスの重ゲーと『フードチェーンマグネイト』のキツいとこだけ足し合わせたようなプレイ感

事業を拡大すればするほど借金が増えていく
なぜか知らないが借金が増える
なぜ増やさなきゃならないのか
どうしてこんなにキツいのか
大丈夫なのかこのゲーム、と思いながら、ルールを読み、ゲームをプレイしているうちに筆者たちは気づいた

借金が増えるのは工場を建てるときに労働者を雇い入れないとならないからだ
この労働者がクセモノであり、プレイヤーの頭を悩ませることになる
このゲームにおいては労働者を何人雇用していても、一切なんの役にも立たない
手数が増えたりもしないし、工場のパワーが増えたりもしない
労働者は、新しい事業を拡大するときに雇わねばならないノルマ
借金のタネでしかない

たとえば携帯電話工場を1個建てると、単純労働者を2コマ雇用しないといけない
こいつらを雇っているかぎり、1コマあたり2金を毎ターン支払わないといけない
せっかくケータイを作って売って得たお金も、この単純労働者がいるかぎり給料として持っていかれる

最初は理解しづらいルールなのだが、ゲーム中盤あたりでプレイヤーたちは気づき出す
「この労働者さえ解雇できれば、毎ラウンドの支払いがチャラになるのでは?
大量の支出を減らせる!」

労働者のクビを切りたい‥‥!
とプレイヤーたちが思い始めてから、ゲームは真の顔を見せ始める



②中盤=リストラの時代
プレイヤー(経営者)は、ゲーム中にAI研究を行うことができる
AI研究者を新たに雇用することで、AI研究が行われ、AI開発トラックを進めることができる
開発トラックが進むとAI研究レベルが上がる
AI研究レベルを上げるのが主なゲームの目的となる
いずれかのプレイヤーのAI研究レベルが5に達したらエンドトリガーが引かれてゲームが終了する
基本的にはレベル5に達したプレイヤーが勝利する
ただし、この研究者を雇うのがとにかく大変
べらぼうに高い給料を払わないといけないし、しかも研究に湯水のようにお金を使う
各プレイヤーは彼らの研究環境を整えるために、苦心してお金を工面しなければならない

ゲーム中盤に、作業ロボットの発明が起こる
ここが最初のシーンの転換点となる

作業ロボットは単純労働を全部やってくれる
ロボットは1機20金くらいかかる大変高価なものなのだが、購入して会社に導入できれば、労働者を大量リストラできる
このチャンスに乗らない手はなく、全プレイヤーがいっせいに作業ロボットを買い、単純労働者を解雇し始める
作業ロボットは毎月の給料を必要としない、ランニングコストはほぼゼロ
夢のような展開にプレイヤーたち(経営者)は「これが第4次産業革命か…」と感嘆することになる
ただ、こんなものはまだ序の口で、もっとすごいことが中盤から終盤に起き始める


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③終盤 人間不在の理想郷
AI研究者たちはとうとうアンドロイドの開発に成功する
作業ロボットとは別モノで、相当性能が高い
単純労働者の仕事だけでなく、専門技術者の仕事もこのアンドロイドはこなせてしまう
この先の世界ではエンジニア、医者、弁護士などの高給取りの専門職も解雇されていく
ここまでリストラが進むと、消費市場が急速に冷え込んでいく
ゲーム序盤は飛ぶように売れていた自動運転車なども、リストラに次ぐリストラで景気が冷え込み、いくら値下げしてもめっきり売れなくなってくる

ただ、プレイヤー(経営者)にとっては世界の景気なんて二の次
経営改善のために、作業ロボットだけでなくぜひアンドロイドも是非導入したい

ここまでくると同時にゲーム終了も見え始める
「これ、アンドロイド購入に手数を割くよりも、先にAI研究レベル5にしてさっさとエンドトリガー引いた方が良いのでは?」
終盤は一気にレーススピードが増し、世界が加速し始める

研究レベルが5に達するとゲームのエンドトリガーが引かれる
AI研究者たちが最後の研究を終える
すると、最終ラウンドに以下のイベントが起こる

「全プレイヤーは全ての知能労働者を解雇する」



④特異点/シンギュラリティ
全AI研究者たちがここに来てリストラされる
なぜか?
最後の研究によって、AI研究をするAIが開発されたから
人工知能が自己複製と自らの改良を開始した
ここにおいて特異点=シンギュラリティが達成され、ゲームが終了する

「これまで地道にAI研究をやってきてくれた知能労働者
こいつらまで解雇するのか?
そんなことがあっていいのか」
筆者らのセッションでは、この結末は驚きをもって迎えられた

労働者が減ると勝利点は増える
経営者にとって絶対的に有益
この感覚をプレイヤーはゲーム中、常に持ち続けてきた
だから当然、解雇できるのなら、知能労働者も当然クビにする
しかし、そこにいささかのためらいを感じてしまう
一緒にやってきたこいつらまで解雇するの?
本当に?

何とも言えない思いだった

そしてゲーム終了時の個人ボード
労働者たちはほぼ一掃されている
空虚な勝利、だれもいない世界

「みんなどこへ行ったのか」とふと思う

お前が全員クビにしたんじゃないか、ロボットやアンドロイドに置換して
と脳裏で声がする
声はこう続ける

途中でクビにした労働者たちはどこへ消えたのか?
そして、お前自身はほんとうに解雇されないのか?
お前の仕事はAIで置換されないと言い切れるのか?



【魅力】
①モダンユーロへのアンチテーゼ
・ワーカーは解雇すればするほど強い
いうのがこのゲームの最も腑に落ちづらい部分
そして最大の魅力でもある
モダンユーロにおいて、
ワーカー=増やすのが正義
である
普通雇う方が強いのだ
増員は正義、手数は正義
これはアグリコラ(2005)から連綿と続く、ボードゲーマーたちが共有している世界だった

『シンギュラリティ』はこの共通認識に対して強烈なフック、アンチテーゼを入れている
このゲームではワーカーはクビにするんだよ、と
批評性の高い視点であり、ブラックユーモアが利いている
本作はプレイ時間や難易度から言って大賞候補の王道作とは言えないが、筆者にとっての大変魅力的に映っている



②強い物語性
AI化によって労働者は解雇されていく
労働者目線に立てば「自分たちの仕事や生きがいを奪われるかも」といった不安を感じる
筆者は専門職をやっているが「仕事の多くは2018年現在でもAIに置換されうるし、今後働き方は大きく変わっていくのだろうな」というあきらめと不安の入り混じった感覚を感じる場面は少なくない

だが、このゲームのプレイヤーは労働者ではない
経営者だ
経営者/資本家/労働者を雇う立場からは、まったく違った世界が広がる
「AI化すればするほど経営は改善する
一刻も早く他社より先んじて導入しなければ」
このゲームをやっていると、自然とそういった気持ちを駆り立てられる

自分と立場の違う人間の見ている世界を追体験できる
これは、物語の持つ根源的な魅力だと筆者は考える

質の高い小説やアニメ、フィクションがある
これらによって我々は別の立ち位置/視点/背景/考えを持つ人間の体験する世界を追体験することができる


『シンギュラリティ』においてプレイヤーは他者の体験世界をシミュレートすることができる
非常にテーマ性が高い成功作だと筆者は評価する

プレイヤーは高度資本主義社会を生きる経営者
合理的に思考し、労働者を切り捨てていく
その結果、最後には人間不在の理想郷が完成してしまう
合理的判断の結果、意図せぬ結末を引き寄せてしまう
ブラックユーモアが利いている
筆者の好みのど真ん中を突いている

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【戦略など】
・IC工場、FRP工場はあまり建てすぎないように
→序盤にできるアクションなので、増やそうとしがちだが、増やしすぎると値崩れが起こる

・作業ロボット工場、アンドロイド工場を建てると相手にも大きなアドが入ってしまう、建てるのは慎重に
建設した自分がその手番中に買えるだけのお金が余っているときだけ建てるべき

・序盤のレベルアップボーナスは在庫数OR技術研究
→アクション数を増やしたくなるのだが、収入を増やす手っ取り早い手段は工場を多く建てること
工場を増やすには在庫数を増やす必要がある

なお一例として、筆者のセッションでは5回のボーナスのうち
技術研究、手数、在庫数、技術研究2、技術研究3
の順で行ったプレイヤーが勝利した

・借金はつねに20~30金程度までにおさえる
30金を超えてくると、事業が回らなくなってくる
10金以下まで減らそうとすると、たぶん手が遅くなってAI開発で後手に回ってしまう
序盤は自分のカードに合った技術研究を1回くらい行うのはアリだと思う
中盤は労働者の解雇を適宜挟んでいきたい

【その他考察】
詳細はインタビュー記事で書くが、スタート時の特殊能力なんかが多少あるともっと楽しいゲームになる可能性があると感じた
開始時の差がないので、やはりどうしても一本道感が否めない
リプレイ性はあるのだが、もうちょっと遊びが合っても良いかも、と感じた
中盤からは選んだルートによって『フードチェーンマグネイト』のマイルストンカード的なものが取れて、能力が高まっていくのだが
最初からある程度の能力があるのもアリかもと考えている

おおざっぱに、初期能力を『マルコポーロの旅路』や『クランズオブカレドニア』くらいの強さで試しに考えることもできる
AI研究のレベルアップボーナス1回分程度の能力で雑に調整すると、以下のようにいくつか案は出てくる

・借金軽減アクション強いマン
・資源工場安く作れるマン
・アクション数最初から多いマン
・技術研究最初からできてるマン
・手持ち現金多いマン
・資源売り買い特化マン

【まとめ】
人を選ぶゲームだが、以下のような性格を持つプレイヤーには比較的お勧めしやすい

・経済系ゲーム好き
・重ゲー好き
・テーマ性が高いゲームが好き
・人工知能関係のテーマに興味がある

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East Indiaman のレビュー

ゲムマで販売されていた、2018年の台湾産の新作
パブリッシャーは『チューリップバブル(商業版)』『交響曲第九番』などを手がけた台湾のモアイディアズゲームズ/Moideas Games
制作はデヴィッド・ワン・スタジオ(おそらくモアイディアズに委託したと思われる)

やや粗い作りだが、自分好みだった
日本語でのレビュー記事は少ないと思われるのでここに記事化することとした

記事前半ではおおまかなルールやプレイ感を記述し、記事後半では細かい考察を行う


East Indiaman(2018) 
Designer David Wang
Artist -
Publisher David Wang Studio
See Full Credits

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【プレイ感、魅力】
基本的には自分の船コマの量を管理するリソース管理ゲーム
場は完全に公開情報
特に交渉やブラフなどはなく、淡々とゲームが進む
ゲーム中に動かせる船コマ数が擬似的なアクションポイントとなる
コマの総数を増やすと総手数が増え、多くアクションすることができる
このゲームの最も挑戦的な部分は、ほぼすべてのアクションを船コマの配置・移動によって行うところ
他のゲームと同様の
・お金
・茶葉や香辛料などの生産物
・生産施設
こういった概念はあるが、すべてを船コマでムリなく表現できている

ゲーム開始時は手元にある船コマが5コマしかなく、最大で15コマ使える
序盤は使えるコマを増やすために工夫することになる
使用可能な船コマはわりと簡単に増やせるうえに、増えるのはなかなかの快感
このあたりのプレイ感は『エルグランデ』や同人作の『マルシェ・ド・フランス』とやや近いものがあるかも

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手前=個人ボード、奥=共通ボード

個人ボードの資源の管理が重要ではあるが、違う種類同士の交換レートが場全体で決まっていて、他プレイヤーと操作し合うことになる
株や経済市場の概念が軽いものだが存在する

市場操作はある程度しっかりしたインタラクションをもたらす
ゲーム中盤では「おい、その資源はうちの生命線なんだから!値段下げるのやめろ!」的な悲鳴は頻発する

メカニクスとは別個の魅力だが、コンポーネントが好ましい
モアイディアズ社の『チューリップバブル』や『交響曲第九番』で使用されていたさらさらした質感のボード、カードを今回も用いている

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【どのようなプレイヤーに勧められるか】
自分の個人ボード内でのコマのやりくりは、『センチュリー:スパイスロード』および『センチュリー:イースタンワンダーズ』にやや似ている
コマの運用をキャッシュフローと捉えるなら、クランズオブカレドニア』にも少しプレイ感は似ている
序盤は淡々とした資源の運用が主で、中盤にちょこちょことインタラクションがある
こういうタイプが好きなプレイヤーには勧められるかも

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クランズオブカレドニア
筆者にとっての下半期のマイベスト
かつてのマイベストのインペリアルやコインブラを超えて、今一番やりたいゲームとなっている

【プレイ時間、難易度、適正人数】
時間:2時間程度(全員初プレイ、3人戦、インスト込み)
難易度:センチュリーよりは少しだけ複雑
適正人数:2~4人、4人ベスト 

3人戦だと、疑似的な2対1の状況が生まれやすく、あぶれた者が悲しみを背負うことになる

【テーマ】
大航海時代
各プレイヤーがそれぞれの東インド会社を持つ
舞台はインド/東南アジアなどの極東地域
交易品を売買し、富を集積し、最も強力な帝国を築きあげたプレイヤーが勝利する

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【難点】
ルールが直感的に理解しにくいかも
ルールブック自体に難はなく、読みにくいことはない
ただ、それぞれのアクションをした際に船コマの扱いが少し複雑で、どうしてそういう処理になるのかが腑に落ちてきづらい
筆者らは第1~2ラウンドは迷いながらプレイしていた


【細かいルール】
全5ラウンドを行う
時計回りに手番が回ってくる
手番プレイヤーは8種類のアクションのなかから好きなものを2アクション行って、次の手番に移る
完全にやることがなくなった人はハードパスを宣言する
先にパスするとちょっと良いことがある
(テラフォ/ガイア/クランズオブカレドニア方式)

個人ボードにある船コマが疑似的なワーカー

船コマを移動させることで、資源を得たり支払ったりすることを表現する
個人ボード→資源スペース =資源を積む
資源スペース→個人ボード =資源を出荷

資源を出荷すると勝利点カードが得られる
勝利点カードとその他の得点を集計し、5ラウンド終了時得点が高いプレイヤーが勝利する

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【プレイエイド】

①初プレイで何をしたらいいかわからない
→最初は投資アクションからが無難
最初に場には0コマしかないが、ゲーム中最大で15コマまで増やせる
使えるコマ数が多い方が手数が増えて有利

足りない5コマは投資アクションをすることでゲットできる
序盤は投資アクションをたくさんやって、コマを増やし、手数を増やすと良いかも

②中盤に何をしたらいいか
拠点建設もやっていこう
拠点建設のメリットは
・資源を獲得しやすくなる
・ゲーム終了時の加点
の2つ
さらに、配置したときに相場の操作もできる

拠点は建てるごとにコマを失っていくので、序盤にムリに建てるのはやめよう
建てすぎると詰む
最終ラウンドまでは、拠点=各エリア1コマ以下くらいまでにとどめる方が無難
置く場所については、自分だけのエリアを作るよりも他プレイヤーと相乗りできる方が楽かも
もし自分しか置いていないエリアができてしまうと、他プレイヤーたちにその物品の価格を下げられやすくなる(このあたりでけっこう激しい対人攻撃が起こる 3人戦より4人戦の方がここの厳しさが緩和される可能性がある)

拠点建設するたびにコマを減らさないといけないので、増やすのは本当に慎重に
あまり増やさない方が無難かも


③カードは何を買うべきか
各ラウンドのお題のアイコンを重視してカードを買おう
ゲームを通してだいたい3~5枚くらいしか買えない
序盤はアイコンを重視して買って、もし同色で統一できるようなら、中盤からはその色の投資トラックを進めよう

④アヘンについての考え方
ゲーム開始時に1アヘン持っているので早く1アヘンだけでも欲しい
アヘンは1ラウンドに1個しかわかないので、ゲーム中4個しか生産されない
しかし2個そろわないと意味をなさない
1アヘンさえ早めに取れれば、それ以降のアヘンコーナーの置き合いは無視してしまっても良いかも
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【初プレイ前の注意】
直感的な理解をしづらい
初プレイの場合は、コマのキャッシュフローをコントロールするゲームだということをインスト時に強調した方が良いかも
拠点建設をするとなんとなく強そうだが、序盤にやりすぎてしまうと使えるコマがなくなってしまい、にっちもさっちもいかなくなってしまう


【考察】
以下ではほぼ私的な備忘録として細かい記述を行う

まずエンジン構築にフォーカスした場合、東インド会社は以下のような構造を持っている

持っている船コマX個(X=10~15個)Y%(Y=30~50%)を資源に変換する

拠点建設:
メリット:Y(変換効率)の増加= 最高効率の50%に漸近する
デメリット:X(船コマ数)の減少

投資:
メリット:X(船コマ数)の増加

変換した資源を用いてカード購入する
カード購入が基本的な勝利点手段


【問題点】
あまり大口は叩きたくないが、ちょっとディベロップが甘いのかも、と感じてしまった

定石が決まってしまっている
道筋が多くなく、正解がある程度決まってしまっている
拠点を作る際のアドがちょっと弱すぎて、
序盤=とにかく投資
になってしまっている
正解が決まっているのであまりジレンマがなく、初手番有利となりがちと思われる

中盤には選択肢が増えてプレイに広がりが出る
中盤以降の豊かな展開は、このゲームにおけるいちばん魅力的な部分だと思う

ただ、終盤の加点手段も、
得点手段=とりあえずカード購入
の1本道感が否めない

カードも
・色で染める
・各ラウンドの注文を重視する(軍事トラックを進める)

で2方向は取れるようにはなっているが、「いろいろやれるぞ~!」という自由な気風はない


【じゃあどうすれば良いのか】

ヘタに手を加えるのは難しい

まず序盤の定石が決まり切っているプレイ感に変化をもたらすと良いかも知れない
そのためにまず、拠点建設を少しだけ強化しても良いかもしれない
具体例として以下の3案をあげる

案A:拠点建設の際に払うコストはラウンド終了時に個人ボードに戻ってくる
(外世界に行かない)
案B:船を外世界に返すアクションを別個に用意する
(もし外世界に返す手段がないとコマが環流しない)
案C:拠点マジョリティを毎ラウンド決算して、単独1位は勝利点トークンを1個得る


これらをもっててこ入れすれば、序盤の拠点建設アクションが相対強化され、プレイの幅が広がるかもしれない
あるいはゲーム開始時のセットアップで何らかのランダム性をもっと付与してもよいのかもしれない

次に投資アクションについて
投資アクションの仕様が、筆者らの卓では直感的に理解しづらかった

投資アクションを行うと、新コマを得られて投資トラックが進む

新コマの獲得と投資トラックを進める
この2つがくっついていることが直感的に理解しづらい
プレイヤーにとって新コマの獲得は序盤に絶対やっておきたいと理解できるが、投資トラックの前進については「いま焦ってやる必要があるか…?」と考えやすい

投資アクションについてのプレイヤーの理解の手助けとして、D案を提示する
案D:ゲーム開始時に初期カードを1枚配る
サグラダやサイズの目的カードのような感じで、ゲーム中隠し持っておく
初期カードはアイコンがなく色情報のみがある
こういうものがあると
「お、最初にこの色のカードを持ってるのか
ってことはその色の投資トラックを進めるのが安定行動かな!
よし了解!」

とゲームの導入がスムーズに行える可能性がある
このゲームの何よりの問題点は、やれるアクションが最初から全部開放されているところ
かつ初見プレイヤーにとっては最初何したらいいかわからん感が強い
案Dの改変でその感覚をいくらか改善できる可能性がある

D案の欠点は、制作者側がもうけるガードレールがやや増えてしまうこと
きゅうくつに感じるプレイヤーも出てくるかも
また、秘匿情報が生じるのも美しくないかもしれない


また、逆転の芽が少ないことについても、同卓者の不満は多かった
これもなんらかの秘匿情報があったり勝利点がもう少し不透明な方が「まだワンチャンはある」と思いやすいかも



【全体として】
よくまとまっており、筆者の好みに合う作品だった
ただ、複数回のプレイに堪えるだけの耐久性を持っているかは少し疑問
3~5回やれば底が見えてしまう可能性が高そう

このゲームのアクションメカニクスは『ガイアプロジェクト』や『クランズオブカレドニア』近い
手数の総数はおおよそ決まっているものの、プレイヤーに明らかにされていない
「コンボ次第でアクションを増やせるかも、トクができるかも」と漠然とした未来への期待を抱けるゲームで、筆者にとってかなり好ましく感じた
また、増やしたアクションを用いて先行投資することで、次ラウンドの手数の総数も増やせる

構造を抽象化するとキャッシュフローをコントロールするゲームと考えて良い
この点は『クランズオブカレドニア』に非常に近いものがあり、この手のゲームは筆者の好みのストライクど真ん中を突いている
その手の人間にとってはまず間違いなくハマると思う

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ふうかさん主催のぶうねんかいに参加し、遊んだり雑談をしてきたので、おおまかなところを記載する

*ボードゲームブログ書きの忘年会
おそらくブロガーの忘年会でぶうねん会なのだと思われる

以下に他の参加された方のリンクを貼っておく






※適宜追加行う可能性あり

主催のふうかさん、他参加者の皆さまには感謝を申し上げます
大変楽しかったです


―――


参加の経緯:
翔さんに誘われたため
自分は初対面の他者1人の話をじっくり聞くのは大好きだが、方向性のない雑談や世間話は苦手
また、飲み会などの同時多発的に会話が発生している場にいることがやや苦手
そのため参加前は「行くとは言ったものの、ちょっとどうなんだろうなあ」とややナーバスな心持ちであった

ただ行ってみると非常に楽しかった
「参加者全員がゲームフリーク」という固い共通点があるため、職場の飲み会などと違って意味内容の薄い雑談を強いられる場面がない
こんな気楽で楽しい忘年会が存在するのか、と感じていた
また軽ゲーをやりながらおしゃべりしてもOKなゆるい雰囲気であり、それも快適感を生んでいた

【自己紹介】
開始すると各参加者が来歴と「2018年の自分のまわりのボードゲーム環境」について数分ずつしゃべっていった
どの参加者の話も無類に面白かった
また自己紹介ではじめて素性がわかるので、
「お、この人があっきぃらびっとさんか!女子大生じゃないじゃないか」
「あの方が嶺美さんか」
と、ツイッターでしか存じ上げない人がしゃべっている姿を見て胸中盛り上がっていた
またゆにさんが途中から参加されており、軽い感じの方かと思ったら、すごくきちんと物事を考えている人間であり、大きな興味を持った
そのうち対談記事などを上げる可能性がある
また、トリのふうかさんの、ゲムマ大賞の審査員のオフレコ話が尋常でなく面白かったのだが、ここで語りえないため筆をおく

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名札を用意してくれており、参加者に配布された
非常に見やすく交流の助けとなった


【ゲームなど】

①テトラコンボ クアトロ
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2人OR4人専用のアブストラクト
インスト10分、プレイ30分程度
やぎのさんに持ち込んでいただいた
非常に面白かった
アブストラクトゲームにしてはダイナミックなプレイ感
コンボがうまくキマったときの快感がすごい


②トロール&ドラゴン
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リアルタイムで行うインカの黄金
異様なほど盛り上がる
インスト5分、プレイ時間20分
usalapbit(うさらびっと)さんが持ちこんでいただい
フランスゲーム
全プレイヤーが同時にサイコロを振りまくってバーストするまで勝利点を集めるボーナスタイムがあり、それが非常に楽しい
こういうのいいですね、子どもも絶対喜ぶ


③CuBirds
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うさらびっとさんの持ち込みのフランスゲーム、その2
インスト10分、プレイ30分
筆者は関西の飲み会でひろにすさんにインストしてもらったことがあるため、2回目のプレイ
マイクラのようなかわいい絵柄で、小鳥のカードを手元に集めていくゲーム
かわいい見た目だがけっこう択が多く、戦略性がある
今回は2~5人用で5人戦だったが、少人数の場合と考え方がいくらか変わるらしい


④メトロックス
紙ペンゲーム、24人でプレイ
インスト15分、プレイ40分程度
ふうかさんのエッセンのお土産をこのゲームの点数が高い順で選べるため、皆本気でやっていた
はじめる前は完全同列でよーいドンなため、「全員同じ行動取るのでは?」と思っていたが、だんだん分岐しはじめて、最後にはまったく別な路線図が完成する
筆者は26点で、下から10番目くらい、恐ろしく凡庸な点数であった
お土産はアズール/Azulのジョーカータイルをいただきました、感謝しております


その後はいくらか雑談をし、解散

解散後は友人のはまち氏と酒を飲み遊び就寝
ダーツを1時間くらい行った
ダーツはおたがい数年前にやったっきりであったため、腕が衰えていて若干の老いを感じた
また、普段やるのが田舎のさびれたラウンドワンだったため、東京のこじゃれたダーツバーにいくらかの緊張を感じた
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会場近くのベトナム料理屋でいただいたメガパクチー生春巻き
パクチーをもはや投げやりに生い茂らせている
美味しくいただいた


【中野ゲーム会】
ぶうねん会は土曜に行われ、翌日曜ははぬさんの家でゆれひ氏らとゲーム会を行った
中野ゲーム会と便宜的に名付けたが、名前はない半クローズ会

以下に遊んだゲームとそれについての所感を列記していく


⑤ペーパーテイルズ
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これはもっと早く遊ぶべきだった
最高すぎる
『セブンワンダー』ライクなメカニクスだが、カードコンボの味付けはこちらの方が自分の好み
経年トークンも絡めた戦略性が非常に楽しい
楽しすぎる、拡張もやりたい


⑥サンチャゴ・デ・コンポステーラ
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聖地巡礼をモチーフにしたゲーム
メカニクスは『東海道』や『グレンモア』、『パッチワーク』に近い
筆者がやってみたいとリクエストを出し、ゆれひさんが持ってきてくれた
4人プレイ、インスト込み60分程度

・誰かがゴールしたとき、そのあともゲームを続行するのか
がルールブックの記載から読み取りづらく議論を呼んだ
→全員がゴールしきるまでやるらしい

自分にとって新奇に映ったメカニクスは
・ボード上で動かせるコマが2体いること
・得点計算のメカニクス

1点目については、特殊条件でたくさん取れるルールがあるので、「2コマを連続手番で動かして特殊条件を作ってたくさん取ればいいのかな」と想像しやすかった

2点目については、新奇性が高く面白いメカニクスなのだが2ラウンドやっても
・相手があれを欲しがっているから自分があれをやろう
という段階までなかなか見えてこなかった

相手の手まで見えないので、読み合いが生じず、最後尾になるようにカードを取る」をほぼ全プレイヤーが続けてしまい、やや単調な展開となった
筆者らの卓の理解が弱かった可能性が一定ある


⑦東大紛争
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1968年から50周年で作られたとのこと
同人のウォーゲーム、はぬさん所有
・全共闘
・あの政党
・大学/文部省
・警察
の4勢力に分かれて行う4人戦用のウォーゲーム
ヘックスマップがないので「これはウォーゲームなのか」とも思えたが、
・部隊を編成してマップ内を移動させる
・イベントカードが各ラウンドでめくられていって、史実に基づいたイベントが起きる

こういう感じはT&Tやトワイライトストラグルと似た感じなので、基本骨格はウォーゲームなのだろう

・大学&警察 の青陣営
・あの政党&全共闘 の赤陣営
に疑似的に分かれ、基本的にはタッグを組んでの協力戦を行う
各プレイヤーが固有のアクションを持っており、陣営内で協力してアクションした方が効率よく盤面を取りに行ける

盤面を制圧できていると決算ごとに勝利点が蓄積していく

ただし、勝利点は同じ陣営内でも別々なので、中盤以降は同陣営でも分裂・離反が生じ始める

…はずなのだが、筆者らの卓ではルール読みに難航し、2ラウンドくらいやった時点で進行が危うくなったので協議終了とした

どこかインストとか指導してくれる方のいるところに行ったときに教わるのが良いのかなあと感じた

全共闘世代の話題が好きな人間だとさらに楽しめる可能性が高い




⑧イグアツ(2017年)
イグアスの滝をモチーフにしたゲーム
大人向けのHABA
ゆれひさんが運んできてくれた
エリアマジョリティで、決算のたびにタテ軸、ヨコ軸のエリアマジョリティを解決して勝利点を蓄積していく
「既に決算が起きたエリアを滝で隠してしまう」というアイディアが自分にとって強烈な印象を与えた
すさまじいと思う
すごく見やすくてわかりやすい、集中しやすいのだ
エリアマジョリティは地図を用いることが多い
地図があるゲームはプレイヤーに負担を強いる
情報量が多いからだ
どことどこがつながっている、どこに誰のコマが置かれている
そういう情報がだんだん蓄積されて、場が混みあってくるから、中盤~終盤にプレイヤーに大きな負担がかかりかねない

このゲームは決算が起きたエリアは滝=青い板で隠されていくため、プレイヤーは今生きているエリアにだけ集中することができる

ゲーム以外でもこの手の工夫がなされるときがある
定型発達でない児童にとって、教科書の不要な部分を隠したり、文字にアンダーラインを引くと見やすくなったりする

あるいは認知症が進んだ高齢者の手助けでは、ごはんが済んだ器を途中で片づけると、残っているご飯に集中してもらいやすくなる


⑨ごいた
全員初心者で、こういうときくらいしか遊ばないのでプレイ


⑩トリックと怪人
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「オインク内では都会人って呼ぶのよ」などとゆれひさんにトリビアを教わりつつプレイ、ゆれひさん持ち込み
シンプル目な正体隠匿ゲーム
ゲーム中でやれることが決まっていて、プレイヤー同士の相談や交渉もほぼ不要なのが心地よい
非常に気安くできる
ただ、イージーにプレイするのではなく、読もうとすればいくらでも読めるし、相手目線で何を見ているのかが読めると奥行のある展開が生じる

「相手の行動から持っているカードを推測する」系のゲームに筆者は目がない
ドメモとかポケモンのシングル対戦とか


⑪カーサ・グランデ
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建物をみんなで建てるゲーム
これもゆれひさん持ち込み
建設と陣取りの要素はあるが、プレイ感はゆるい
終盤に摩天楼的な大建築物が出来上がるのが非常に楽しい
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インカカタンについてのざっくりしたレビュー

カタン:インカ帝国の隆盛
Catan: Rise of the Inkas
Designer Klaus Teuber, Benjamin Teuber
Artist Martin Hoffmann, Michaela Kienle, Claus Stephan
Publisher Catan Studio, KOSMOS + 3 more


ゲームマーケット2018秋の新作
カタンの新作であり、トイバー父子の手からなる
プレイしてなかなか面白かったので、今回記事化することとした
記事前半ではルールやプレイ感を記す
後半では、テーマとメカニクスの不調和感や、テンポについてなど、自分の感じたところを整理し掘り下げていく


【想定している読者】
カタンを知っていて、インカカタンにちょっと興味がある方


【魅力】
通常版カタンの特長として、

・拡大再生産
・交渉

の2大要素がある
インカカタンでは拡大再生産感と交渉要素の両方がいくらか減らされている
拡大再生産は、波に乗れると楽しいが、出遅れると終盤まで上がってこれない
交渉は習熟した者同士・初心者同士の卓なら楽しいが、うまく機能しない場だとプレイ感を損ねる可能性がある

2010年代の中量級ユーロの売れ筋は、交渉要素も拡大再生産要素も弱い
インカカタンは今流行りの路線に寄せてディベロップされているように感じる


【どういったプレイヤーに勧められるか】
「カタンはある程度好きだけど、別ヴァージョンのものもやってみたい」というプレイヤー


【プレイ時間、難易度】
筆者の卓では初プレイ4人戦で、インスト込み3時間だった
既プレイだと人数×30分くらいと思われる


【テーマ、世界観】
インカ帝国の黎明期
プレイヤーたちは小国の主となり、インカ連邦を協力・競争して発展させていく
インカ帝国は今の南米のペルーあたりにあった帝国
西暦1200年くらいからインカ族は台頭してきた
1400年ごろにインカ帝国が成立
1500年ごろにスペイン人が入ってきて滅亡
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インカ帝国は「1人の皇帝が全権限を握って全土を統治」というスタイルではなかった
いくつもの小国が皇帝の許可を得て各地を統治する連邦国家スタイルだった

プレイヤーは小国の主となる
各地に開拓地を建てて、資源を産出する
街道を建てて物品を交易し、豊かになっていく
基本の流れは通常版カタンと同じ
ただ、インカの世界では時代を経ると開拓地が衰退していく
衰退した開拓地は雑草が生え、街道も機能しなくなる
資源はかろうじて産出するものの、自治能力は失われてしまう
条件によっては衰退都市は敵対する部族(他プレイヤー)に簡単に支配されてしまう
この「衰退」のメカニクスがインカカタンの最大の特色
発展・衰退を繰り返しながら、第3時代の最後に最初に達することができたプレイヤーが勝利する

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盤面
どことなくペルーの沿岸部に見えてこないだろうか
手前の魚はアンチョビー…
奥の山はアンデス山脈


【細かいルール】
通常版カタンとの違いを列挙する
(要を得た書き方をする技術・体力を欠いているので、未プレイの方には読みにくくなっている可能性がある)

・勝利点のルールの変更
勝利点〇点ではなく、開拓地を1個建てるOR都市化するごとに1個ずつトークンを得る
一度得たトークンは絶対に失われない
→勝利点のついた発展カード、最大騎士力/最長交易路による加点が廃止
ゲームの見通しが良くなった


・最大騎士力、最長交易路のルール変更
勝利点2点ではなく、それぞれのタイルを持っていると特殊能力のバフが得られるようになった

最大騎士力
盗賊コマが自分の開拓地に隣接している場合、自分のターンの好きなタイミングで盗賊コマを盤面から除外できる
(7の出目が出たり騎士カードが使われると、盗賊はふたたび復活する)

最長交易路
自分のターンに1回だけ、好きな手持ちの資源カード2枚と場の資源カード1枚を交換できる

→強力なバフをめぐってのタイルの取り合いは激化した
特に騎士タイルを1プレイヤーだけに持たせるのは相当ヤバい
逆に「交易路」のタイルは「衰退」のルール(後述)によって、下位プレイヤーがキープしやすくなり、ゲームバランス向上に寄与した印象を持つ


・衰退
開拓地を建てたときのトークンを一定個数得ると衰退が起こり、次の時代に移行する

衰退のルール
プレイヤーの全開拓地・都市が衰退する(雑草やツタを模したものに覆われる)
街道が全て除外される
すでに衰退している開拓地・都市をゲームから除外する
新たに開拓地を1個配置する
ゲーム中2回衰退が起こる
→衰退の度に仕切り直しとなり、生産力がやや落ちるので、テンポが悪くなる
爽快なプレイ感を得がたい
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衰退
雑草に覆われた開拓地


・新資源
交易品が3種現れた
・コカ
・羽
・魚
の3つ
交易品は、
・同じもの2つと好きな資源1つ
・交易品3種と好きな資源2つ
の交換ができる
→欲しい資源を得るためのアシストとして有効
自分の手元だけで完結させられる部分が増え、交渉要素を減らす一因となったと考える


【戦略など】
既プレイ者向け

・都市化はホイホイやれない
初期開拓地をもし都市化したとしたら、まず間違いなくゲーム中盤に相手に潰されてしまう

・都市化するとしたら第2時代に行うと良いかも
・盤面の端っこ
・自分の開拓地に守られた場所
こういった「奪いにいくための手数がもったいない」と相手に思われるような場所にうまく建てられるとゲーム終了まで活きる

・第2,第3時代に行くのは慎重に
街道が失われ、ゼロからのスタートになる
発展カードや騎士力をある程度蓄えてから移行する方が良いかも

・衰退後の最初の開拓地置きは、ある程度自分の拠点から遠い場所に
自分の衰退した開拓地を再度建設することもできるが、手損が大きい


【考察】
①テーマとメカニクスの解離
悪いゲームではないのだが、テーマとメカニクスがちぐはぐなのが非常に気になった

類似テーマのゲームだと、「テオティワカン」「ツォルキン」がある
いずれも名作で筆者はいたく気に入っている
「テオティワカン」では、資本主義経済以前の粗野で素朴な世界が描かれている
「ツォルキン」ではマヤ文明の悠久の時間が流れている
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これらの2作品は一から古代テーマに合わせて作品をディベロップしている
そのおかげでテーマとメカニクスが非常に良く調和している

逆にインカカタンはカタンありきのアレンジ作
どうしてもテーマとメカニクスのフィット感が弱い
以下に詳述するが、カタンは資本主義/植民地主義的な性格が強い作品なのだ
このカタン本来の持ち味をインカカタンでは損なってしまっているような印象を受けた


②通常版カタンのテーマ・メカニクスについて

通常版カタン(1995年)は、ざっくり言って植民地主義/資本主義系のゲームの走りだ
そう筆者は捉えている
プレイヤーは無人島に上陸した入植者となる
自分の支配する土地から資源を得て、さらに支配地を増やして豊かになっていく

植民地主義/コロニアリズム
「植民地とか領地をどんどん増やしていこう」という考え方
歴史背景は飛ばすが、大航海時代あたりに起源がある考え方で、19世紀以降の帝国主義・資本主義にも通じるものがある


カタンは1995年初出の作品
植民地主義的なゲームの大元を作ったのがカタンであると筆者は認識している

・世界中が所有可能なものである
・土地からいろんな資源が湧いてくる
・持っていなかった土地を奪い合い、支配する
・ワーカーを土地に配置すると、固定給で黙々と資源を生産し続けてくれる

こうしたコンセプトを持つゲームを筆者は植民地主義系のボードゲームと呼ぶ
現代では定番となった諸要素だが、これらのさきがけとなった作品が『カタン』であると筆者は認識している
筆者の知識不足で、より先行する作品がある可能性はあるが

たとえばカタン以前の『アクワイア』『モノポリー』、トレシャムの『シヴィライゼーション』には断片的には見受けられるものの、カタンほど完成された形を取っていない

ただ、カタンにはワーカーがいない
給料の支払いもない
しかし、一度建てた開拓地は自分に利益をもたらし続ける
そこに労働者がいると考える方が自然だ

カタンは植民地主義的な性格の強いゲームだが、資本主義的な側面もある
概念の話が延々続くのは恐縮だから適当に省くが、ボードゲームで序盤に組むエンジンは、マルクスの『資本論』でいうところの道具と考えて良い
開拓地を建てるためのコストとしてプレイヤーは4枚の資源カードを消費する
デカい買い物だ
一時的に貧乏になる
ただ、その開拓地は先行投資
ゲーム終了までには最初に使ったカード4枚の何倍もの富をプレイヤーにもたらしてくれる
プレイヤーは資本家となり、資本金を用いて道具と労働者を揃えて、余剰資本を蓄えていく

なおカタンの交渉のメカニクスについては、原始的な経済市場を再現したものと捉えることができる
市場については考えがまとまっていないのでここでは省略する


大きな脱線があった

何が言いたいかというと、筆者にとってのカタンは植民地主義者/資本家のゲームなのだ
先行投資して資本を投下する
土地を買い占め道具を揃える
資源を生産して利益を上げていく
利益を元に事業を拡大する
他プレイヤーと覇を争う

このメカニクスとインカ帝国のフレーバーは、あまり相性が良くない

プレイヤーはインカ帝国の各部族の長だと思われるのだが、インカカタンのプレイ感はむしろ、インカに攻め入ったスペイン軍のそれに近い
やってることがまったく牧歌的でなく、たとえば新規開拓地を建てるときなど、フランチャイズ店の出店攻勢を狙う経営者のような気分になる
12世紀のインカの香りはあまりしない

ただ、フレーバーを重視してのアレンジも行われている
顕著なのは「衰退」ルールの導入
カタンは強い土地を取って都市化してガッツリ稼ぐと勝ちやすいが、インカカタンでは都市化しても衰退する
通常版の「どんどん開拓していこう」というプレイ感とはやや異なる感覚を与えることには成功している

ただ、この改変によってカタンの長所が損なわれてしまっているとも感じる

③じゃあどうすればよかったか

インカ帝国テーマのゲームとしては、マック・ゲルツの『マチュピチュの王子/The Prince of Machu-Picchu』が挙げられる
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このゲームは終了条件が複数あり、本作の大きな魅力を担っている
スペイン人の侵略が完了するか、プレイヤーたちが頂上にたどりつくかでエンディングが変わり、勝利点の計算方法が変わる
いわゆるマルチエンディングのシステムを採っている
売れるか売れないかはさておき、もしカタンのメカニクスと合うテーマで作るとしたら、以下のようなやり方はどうだろう

・プレイヤーは大航海時代のスペイン人
・インカ帝国の海岸からスタートして開拓地を置く
・だんだん内陸部に進出して、森を切り拓き、開拓していく
・勝利条件は以下の2つ
 ①最初にX点勝利点を得る
 ②マチュピチュ(内陸部のゴール地点)に最初に到達する

など
ただプレイヤーが植民地提督となるゲームは非人道的だったりするし、あまり売れないだろう
筆者はブラックユーモアが好きだが、侵略者になるゲームは万人受けしないだろう
バランス調整も難しそう
ただ、実現するかは別にして、こういった無為な空想は非常に大きな喜びを筆者に与えてくれる


参考文献:

上記記事をもとにはぬ氏、ゆれひ氏と雑談を行った
本記事の後半の考察の一部は上記記事及び両氏から得たアイディアも混じっている


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ゲームマーケット東京2018に行ってきたので、何を行い、何を見聞きし、何を思ったかを記録する

かなり冗長で散漫な記事となったためアップするかやや迷ったが、いったん公開記事とする
本記事は予告なく非公開設定とする可能性がある

―――


ゲームマーケットは11/24,25の土日2日間で開催された
筆者は前日から東京入りし、2日目夕方に帰阪した

本記事では
前日=0日目
当日=1,2日目
と分けて記載していく
また、遊んだり購入したゲームについて以下のように小見出しをつけた
興味のあるところだけ飛ばし読みしてくだされば幸い

①コロコロ堂ゲムマ前日会
②子どもとのボードゲームについて

ゲムマ1日目
③SINGURALITY
④4Exploit
⑤フレディへの献花
⑥もっとホイップを
⑦すずめ雀
⑧フードチェインマグネイト
⑨汽車は進むよ

ゲムマ2日目
⑩ワンナイト人狼2 ブレイブフロンティア版
⑪ワンナイト人狼 狂気版
⑫カタン:インカ帝国の隆盛/ Catan: Rise of the Inkas
⑬王道
⑭第9番交響曲
⑮東インド会社/East Indian Man/東印度公司
⑯たった今考えたプロポーズを君に捧ぐよ
⑰ハイパーロボット
⑱フリーマーケットについて


0日目:11/23(金)

①コロコロ堂ゲムマ前日会

上野のコロコロ堂でのゲーム会に参加

10月に行われたマックゲルツ会でお会いしたまおさんに誘っていただき参加することに
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上野駅には愛らしいパンダがいた

主宰は同氏とシュウさん
同卓させてもらった方々を列記しておく
翔さんくぼさんうぃりあむさん河井さんおとんさん、9歳さん、シュウさんのご子息
参加者はこの2倍くらいいて、だいすけさんやコヨさん、おかんさんともおしゃべりして楽しかったが、詳細は省く
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遊んだゲーム:
テラフォーミングマーズ(4人)
Forbidden Sky(4人)
すしごーパーティ(6人)
おばけキャッチ(3人)
ならび(5人)
キャッチョコ(3人)


テラフォーミングマーズは12歳以上推奨だったが、おかん&おとんのご子息の9歳さんと、シュウさんの上のお子さんが参加
2ケタの計算が多いが、上の子は完全に自分だけでできていてびっくりした
また、2時間半の長丁場だったがほぼ集中が切れておらず、またそれにも驚いた

②子どもとのボードゲームについて
子どもとボードゲームで遊ぶのは、筆者にとってこれが初めて
これまで「子どもとボードゲームで遊ぶこと」や、いわゆる「ボ育て」、「アナログゲームでの知育」について、やや否定的な考え方を漠然と持っていた
実際に遊んでみて、自分の考え方に一定の変化が生じたので、ここに言語化してアウトプットしておく

これまでの筆者の考え:
子ども向けのものでない限り、おおかたのボードゲームは子どもがやるのはキツい部分があるんじゃないか
という考えを持っていた

多くのボードゲームでは勝ち負けが絶対つく
また、相手を殺したり潰し合ったりも起こる
負けても露骨にイライラしてはいけず、勝者をたたえる必要がある
待ち時間も相当長い
開始までの説明に30分かかることもザラ
さらにゲーム中にもたくさんの待ち時間がある
これらを総合すると、大人がやるにしてもそうそう簡単な趣味ではないと感じる

個人的な話題を出すと、筆者がボードゲームが好きになったのは社会人になってから
大学生のころまでにデジタルゲームは大方触っており、ボードゲームライクなものだと桃鉄やポケモンには相当ハマっていたものの、ボードゲームは存在自体を知らなかった

ただ、もし当時からボードゲームに触れていたとしても、楽しめただろうかと想像すると、やや疑問がある
自分にとってボードゲームの難しいところは、デジタルと違って相手が目の前にいるのに勝ち負けがはっきりついてしまうところ

オンラインゲームだと基本的に何をやってもいい
負けてコントローラを投げてもOK
味方のせいで負けたなら「なんやこのクソゲー」と罵ってもいい
あるいは勝ったなら相手を「はいザコー」と煽るのもアリ
何をやっても他者に見聞きされることはない、家族に心配されるくらい
でもボードゲームでは、どんなに心境を乱されても、社会的にOKな振る舞いを取らなければならない

筆者は子どものころからかなり負けず嫌いの性分で、年を取った今でも、ゲーム中負けが濃厚になったりすると、気持ちを維持するのが難しくなる
「これ、続ける意味なくないか…?
勝てないことが決まったゲームを続ける意味とは?」
と考えてしまうのだ
ただ、一定時間が経って頭が冷えると、「ゲーム勝利以外の別な目標」を見つけることができて、だんだん気持ちの切り替えができるようになる
(別な目標:○○特化プレイの感覚だけでも掴もうとか、あのプレイヤーだけは潰そうとか)


やや脱線した

筆者のこれまでの考えをまとめると、「この趣味では、けっこう高度な感情制御をみんなやっているよなあ」と感じていた
「親の趣味だからといって、それを子どももしてくれるのだろうか、楽しめるんだろうか」と考える部分がいくらかあった

実際に遊んでみて:
子らはみなそれぞれに楽しめている様子だった
おかんさんの子の9歳児は、これまで数回のプレイ経験があるらしく、テラフォを嬉々として打っていた
シュウさんの子は初回プレイの「すしゴーパーティ」の勘どころを、第1ラウンドからきっちり掴んでいた

ただ、大人と比べると集中力が切れやすいようで、スタミナについては総じて傍目に一定の不安を感じた


それにしても
・ルールを守る
・手番順を守る
・勝者をたたえる
という基本的な動きはどの子もできていた

ボードゲームがどうこうというよりは、「子どもが好きと思えるか、やりたいと思ってくれるか」の部分がたぶん大事なのだろう
ただ、好きのスイッチがもし入ったら、うまく場を整えればそれなりに難しい大人向けのゲームでも、大人と混じって楽しく遊ぶことができそうだな、と感じた

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遊んだあとの夕食は懇親会、まさのぶさん、まおさん、hiroceanさんと酒をいただいて雑談
夜は友人のはまち氏の家で飲み直し、ドラクエライバルズなどに興じた


ゲムマ1日目:11/24(土)
はまち氏、別の友人2名とともに9時半ごろに現地着
混んではいたが、10時15分ごろには会場入りできた

予約してないものについてはノープランだったため、4人でぷらぷらして買い物を行った
適宜自分の欲しいものを見つけると離れて、買えたらラインで再集合、という流れを取った

友人らはライジングサンなどを購入
はまち氏はすずめ雀キャプテンリノなどを購入
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ほっくほくの友人

③SINGURALITY
慶應HQの新作
予約して購入
部長さんがまたお時間を取って話してくださり、聞けば『国富論』リスペクトの経済系ゲームだという
みれば『クランズオブカレドニア』的な市場トラックもある
筆者は経済系ゲームに目がないため、いたく興奮した
短めのレビューとインタビュー記事を来月などにあげる可能性がある


④4Exploit
J.C.createsの新作
文明発展系の重ゲー
プレイ時間2~3時間
4人戦用
作者の方はメガシヴィが好き&上手そうな方であり、「この人が作る重ゲーってどんなのだろう」と興味を持ち店頭に
コンポーネントを見てしっくりきたので購入した
4人専用であり、「2~5人いけます!」的にヘタに手を広げていないところに良い印象を抱いた
卓さえ立てられれば記事化する予定、読みインストで半日ゲーに付き合ってくれる方を探すのがややハードだが・・・

⑤フレディへの献花
1日目のゲムマは自分は昼過ぎに終了
昼からは神田に足を運んだ
11/24はフレディ・マーキュリーの命日であり、ミュージックライフ社で行われる追悼の献花に参列するためだった
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筆者はクイーンのファンで、2018/11/8公開の「ボヘミアン・ラプソディ」も楽しく観た

ただフレディの享年あたりの生まれで、生前の様子はまったく知らない
列に並ぶ人が「日本に来たときに一度見て…」とか、「あのレコードが出たとき…」と静かに思い出を話しており、聞いていて心地が良かった
映画は、「フレディ・マーキュリーとクイーンというバンドを大好きになれるように」を、なにより第一のコンセプトにして作られている
クイーンのファンでも、そうでない方も機会があれば観に行かれることを強く勧める

【自宅ゲーム会】
夕方からはぬさんの家にいって自宅ゲーム会を行った

いくつかのゲームを行ったので、おおまかな所感を記載する

⑥もっとホイップを
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ニューゲームズオーダーのあつらえた新版
ゲムマ新作
はぬさんに買ってこいと言われたのでおつかいをして、買いたてをプレイ
3人戦、4人戦と続けて遊んだ
シンプルなルール、コンポーネントだが、非常に強いジレンマをもたらしてくれる
NGOのパンフレット、インタビューも読んだが、ここの持っているフィロソフィに強い共感を覚えた


⑦すずめ雀
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麻雀未プレイの人と数局
筆者は麻雀については、学生時代、身を持ち崩す寸前までハマったくち
この作品は、麻雀の煩雑な部分を省略し、面白さを凝縮することに成功している
素晴らしいゲームだと感じる

【2人用バリアント】
2人プレイを細かくルールを変えながら数十局行った
筆者にとっていちばんしっくりきたルールを以下に載せる

基本ルール 持ち牌=6枚 アガり点=5点 
2人用ルール 持ち牌=9枚 アガリ店=7

勝利点のルール
基本ルール 点棒を使用
2人用ルール 別ゲームの勝利点トラックで代用(カルカソンヌなど)

持ち牌9枚でやると手役を作る楽しさが向上した
ただオールレッド・オールグリーンの成立が難しくなるので、役の点数も適宜いじっても良いかも
勝利点トラックを使うと、煩雑な点棒のやりとりがなくなり、かなりサクサクになった


筆が乗っているので、すずめ雀についてもう少しだけ掘り下げる

素晴らしいゲームなのだが、不満点が1つだけある
すずめ雀には雀頭(ジャントウ、アタマ)の概念がないのだ
そのため刻子(コーツ)の役割が相当弱まってしまっている
普通の麻雀だと、
対子(トイツ)2個でシャボ待ち=4牌が待ち牌
両面待ち=8牌が待ち牌
となる

対子待ちと両面待ちの差は4牌
ただ、対子の場合はスジがないので、アガりやすいときもある

しかし、すずめ雀では
対子1個での待ち=2牌
でしか待てない
2牌だけで待つのかかなりキツい
地獄待ちでも3牌でアガれるわけだし

このあたりが実際の麻雀と大きく異なってしまっており、プレイ中強い違和感を感じる


⑧フードチェインマグネイト
非常に重たいゲーム
ゲムマで購ったものではなく、はぬさんの私物
3人戦、4人戦を続けてプレイ
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プレイまでの経緯
先月まで触ったことすらなかったのだが、はぬさんから
「今回はフードチェインをできたらやりたい」
と提案があった
「ただ、既プレイ者と初プレイだとかなり差ができちゃうから、もしできるならそれまでにどこかでインストを受けておいて」
と指示を受けた
そこでディスカバリーさんにお願いして、ゲムマ前にインストからの卓を立てていただき、同店で事前に初ゲームを行った
そのときは5人戦で、自分のプレイミスで1位を走らせてしまい、大敗を喫した
非常に悔しかったので、今回は予習して参戦

結果は上々で今回は2戦とも勝利
FCMについては別記事で取り上げると思われる
ゲームの構造としても、抽象化すると
・自分のスロットを構築するマネジメント
・マイルストンの早取り
・陣取り
・奪い合うエリアの価値を自分で決定する(広告アクション)

これらの諸要素が複合して、独特なプレイ感が生まれている

⑨汽車は進むよ
良いゲーム
同時にピックして各人の箱庭を作って行く
3人でインスト込み40分くらい
8ビットモックアップに若干似たプレイ感だが、筆者はこちらの方が好み



ゲムマ2日目:11/25(日)
友人の赤おに氏夫妻とその赤子さんと
昨日同様9時半ごろに現地入り、やはり10時半までには会場入り
同夫妻は初ゲムマであり、テンションが上がっており、筆者もその熱気をいただき、いくらか財布のヒモも緩んだ
同氏らおよび筆者が購入したタイトルとおおざっぱなプレイ感を以下に記す


⑩ワンナイト人狼2 ブレイブフロンティア版
これ1つで27枚の役職タイルが入っている
「これ1個あれば全部そろう!」タイプの商品
4連戦を行うトーナメントルールも同梱
いくつかの拡張をまとめたセット的な作品で、お得感がすごい
トーナメントルールはなかなか面白かった


⑪ワンナイト人狼 狂気版
「狂気山脈」や「ラブクラフトレター」的な狂気カードでの縛りがある人狼
狂気カードの中身がわからないでやる初プレイがいちばん楽しいと思われる、そのためカード内容のネタバレはしない
気心が知れた者同士でやれば絶対面白い
それと、ワンナイト人狼かクトゥルフ神話モノのどちらかに親しみがあるプレイヤーだとプレイしやすい
いわゆる狂気ロールを強いられながら人狼の議論を行うことになるので、人狼にもクトゥルフにも不慣れなプレイヤーが多いと、ゲームの成立が危うくなってしまう可能性がある


⑫カタン:インカ帝国の隆盛/ Catan: Rise of the Inkas
インカカタン
あるいはインカタン
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GPのブースで売っており、試遊は2卓立っていた
筆者らは15分くらい待って1卓に参加
別記事であげる予定だが、なかなか面白かった
現代風にチューニングされている点が多く、ディベロッパーが何を意図してこのような調整を行ったかを想像する楽しさがある
通常版と比べると、

・プレイ時間がやや間延び
→初プレイはインスト込み3時間(4人戦)

・交渉要素の緩和
→「コカ」「羽」「魚」の新資源が出現
  手札内で完結できる場面が増えた

・拡大再生産要素の減少
→「衰退」のルールによって持てる開拓地数に上限が設けられた
  古い開拓地は相手に奪われるようになった

・勝利点システムの簡略化
→とにかく新しい開拓地を建てれば1点つく
  最大騎士力・最長交易路は点数以外のアドバンテージをもたらすように

キツい交渉が生じにくくなって、相手に依存せずに資源の運用ができるようになった
その反面ソロゲー感が少し増した印象
また「都市を建てまくって生産力上げて」というパワープレイがほぼ無理になり、全体に緩慢なプレイ感となっている

1プレイしかしていないが「交渉と拡大再生産のテイストを減らすことで、カタンの根幹となる持ち味が損なわれてしまっているのでは」という懸念がある

おまけ:試遊の仕様
試遊のルールが面白かったので、私的メモとして残しておく
・4人卓でほぼ固定(見ているかぎり3人以下で立卓していることはほとんどなかった)
・運営が決めた配置で都市3個立てた状態からスタート
(全体の1/4くらい進んだ状態からスタート)
・エンドトリガーは第3時代に入るプレイヤーが出た瞬間(ラスト1/4くらいを省略)

これにより得られる利点
・試遊時間はインスト込み40分くらいで済むように(それでも短くないが)
・インカカタンの新要素だけ味わえるように(衰退をめぐるジレンマの印象だけが残った)

⑬王道
試遊のみ(売り切れ)
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韓国のパブリッシャーから出ているリソース管理系のクマを並べるゲーム
4色のクマをバッグからランダムピックして盤面に配置していく
配置時のコストは隣接マスのクマの色だけ
また、コストとして支払ったクマは市場にたまっていき、市場に5クマたまるとバーストする
バーストさせたプレイヤーはボーナスとして追加で1クマ得る

戦略と運のバランスが非常に良い
クマを手元にため込むと効率の良い運用ができる
でも先に盤面を取られるので、低コストの良い場所を埋められてしまう
バーストボーナスの取り合いも地味に熱い
プレイ時間はインスト込み40分程度と短い
コンポーネントもかわいく、値段も安い(失念したが3000円を切っていた気がする)
売り切れでなかったら買うのはかなりアリだと思えた作品


⑫第9番交響曲
「チューリップバブル」のモアイデスゲームズの新作
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プレイヤーはパトロンになり、資金を折半して演奏会を開く
全員何金かを握り、同時に公開する
合計値がちょうど良い値だとコンサートが開かれ、金額によってプレイする演奏家が異なる
自分の推しメンの演奏家にプレイさせたいが、周りが出す金額は明らかでないため、思うとおりにはいかない
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バッティング系のゲームが好きな人間には勧められる
かなり迷ったが、筆者・赤おに氏にはあまりピンとこなかったため見送り
・勝利点の取り方が直感的に理解できなかった
・バッティングゲーなら、全体的にもっと軽くしても良いのでは
と感じたため


⑬東インド会社/East Indian Man/東印度公司
第9と同じくモアイデスゲームの手からなる
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こちらはコンポーネント、ルールが気に入ったのでこちらは購入
ごくたまに「これは絶対自分好みのやつだ」と直感を抱くときがあるが、このゲームはまさにそうだった
なんとなく「マデイラ」にちょっと似ている
プレイしたら記事化する可能性がある

⑭たった今考えたプロポーズを君に捧ぐよ
赤おに氏が購入
男女でやれば盛り上がるのではないでしょうか

⑮ハイパーロボット
再販がなされていた
これも赤おに氏が購入
良いゲームだと思います


⑯フリーマーケットについて
「並ぶのであれば、11時から整理券を取り…」というルール記載
少し迷ったが、並ぶ際に消費するアクションポイント(体力と時間)が明らかでところに不安を感じた
また、得られるリターンが自分にとってさほど魅力的に映らなかった(筆者は旧作の収集の趣味はなく、せどりしたりするタイプでもない)
悩んだ結果並ぶのはやめることに
一般開放される13時から参加した

全部じっくりみると30分くらいかかる広さ・大きさだった
旧版アグリコラがかなり安い値段で出ていたので購入

準新作だとパルサーがかなり出回っていた印象を持った
合わないと感じた人が一定いたのだろうか
16時ごろにもう一度参加したがいくらか迷ったものの買い足しはせず

なお、フリマではないが、アークライトの割引き販売ブースではフリーゼの「504」も多く売られていた(5000円)
万人受けするものではないからしょうがないだろう

夕方に離脱し帰阪
3連休最終日の、夕方の新幹線自由席
東京駅構内は記録的に混みあっていた
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