オラニエンブルガー運河はウヴェ・ローゼンベルグによる2人用の90分級
プレイし、きちんと面白い良作だと評価したため記事化する
(1)基本情報
(2)テーマ
(3)魅力
①ヌースフィヨルドの後継者
②拡大、成長感はひかえめ
③やや理不尽な勝敗決着
④ウヴェ作品のなかで最もアドリブ寄り
⑤資源ホイールはオンリーワン的で◎
(4)考察1:システム面の読解
①資源のレート
②鉱石とは何か?
③起動効果の3つのデザイン的メリット
[1]処理が明白
[2]ストーリーに起伏を
Oranienburger Kanal (2023)
デザイナー:
のどっちかにボードゲームは偏りがち
ユーザーごとに好みのレンジは違うし、デザイナーも得意のレンジを持っている
ウヴェは戦略寄りのデザイナーで、代表作の戦略的:場当たり的の比率はざっくり以下
なお数値は完全に主観であり、特に論拠がない
カヴェルナ=8:2
かなり戦略寄り。
途中のアクションスペースのめくれ以外ランダム要素、運要素なし。
ほぼ完全公開情報ゲーム。
基本版の硬さに対して、氏族拡張(忘れられた氏族)による非対称的なセットアップや狂乱の魔物拡張はよりゲームを柔らかく、解きほぐす方向で働いている。
アグリコラ=7:3
最初の14枚のカード配布とアクションスペースのめくれのみ運要素あり。
ヌース=6:4
建物カードのめくれ運は強いが、多くの枚数がめくれる。
特に強力な最後の得点系カードは各プレイヤーに一部公開されており、下準備もできる。
オーディン=5:5
・捕鯨や略奪ダイスのブレ
・職業カードのめくれ
・食料供給ラウンド(拡張要素)
と、とても運要素は多い。
けっこうなアドリブ力を試される。
これらと比べると、
オラニエンブルガー運河=3:7
都度めくられる建物カードを活かしてアドリブ的に立ち回る必要がある。
また、ホイールからあふれた資源が蒸発する仕様が、
「ここは資源をため込んで…」
という長期計画を阻んでいる。
比較的マシなものを手早く建てて、手元に資源を残しすぎない必要がある。
なお余談だが、アドリブ性や場当たり性が上がるほどベスト人数は減る傾向にある
カヴェルナ基本版=4人ベスト
アグリコラ=4,5人ベスト
カヴェルナ氏族拡張=2,3人ベスト
オーディン=2,3人ベスト
ヌース=2、3人ベスト
オラニエ=1,2人
・戦略寄りで運が介在しづらいゲームは、他プレイヤーを乱数の意味合いで導入した方が楽しさが底上げされ、多人数戦の高評価につながる
・場当たり的、アドリブ的なゲームは手番中の思考時間が延びやすく、ダウンタイム軽減の意味で少人数戦の方が評価されやすい
・特にダイスが顕著だが、とても強い乱数要素が介在する場合、2人など少人数ベストとされやすい(参考:ブルゴーニュの城、グランドオーストリアホテル、ティルトゥム)
あたりが原因と思われる
⑤資源ホイールはオンリーワン的で◎
粘土、木材、鉱石の3種の下級資源とレンガ、鉄の2種の上級資源を管理する
資源を得たり払ったりすると、トラック上の資源トークンを動かす
ここまではガイアプロジェクトの建材とお金トラックと同じ単なるトラック管理だが
毎ラウンド開始時、ホイールを回転させる収入が得られる
このとき、
「3種の下級資源を1個ずつ支払って、2種の上級資源を1個ずつ得る」
という処理が起きている
上の画像だと、「2鉱石、2粘土、3木、1鉄、3レンガ」持っていたのが、
ホイールを回転させると、「1鉱石、1粘土、2木、2鉄、4レンガ」に変化する
フレーバー的には、木材を燃料として、鉱石(粗鋼)を精錬して鉄にし、粘土を焼いてレンガを作っている
未プレイの方は実機を触るか、hal99さんの動画なんかを観られる方が手っ取り早く分かりやすいのだが
ここの実装は抜群に良い
「ああ、ここが一番やりたかった部分なんだろうな」
と思わせてくれる
・下級資源コマ3個をストックに返して、ストックから上級資源コマ2個を取る
という工数の多い仕事を、
・ホイールを1/16回転させる
で置換している
オーディンのインタビューで、
「これまで動物コマをストックに返して、2食料をストックから取って、それを収穫フェイズにまたストックに返すことで食料供給をやっていた。
でも動物をポリオミノタイルにして、給仕ボード上に乗せさせたらどうだろう?
食料支払いがもっと直観的に分かりやすくなるし、かつ処理も簡単になるよね」
という旨の発言をしていたが、同種の優れたソリューションだ
ホイール上での資源管理は、祈り働け(2011)とルアーヴル・内陸港(2012)でもやっていたが
今回の仕様は知る限り誰もやったことがなかったもので、新奇性がとても高い
大げさに記すなら、ユーロゲームをまた1歩前進させる小さな発明だと評価する
(4)考察
以後既プレイの方向けの記載となる
①資源のレート
おおざっぱに、各資源の価値は、
粘土、木材、鉱石=2
名声点=3
お金=4
レンガ、鉄=5
くらい
「1レンガ(5)は2粘土(4)よりは価値高いけど、3粘土(6)には及ばないくらいかな。
2木(4)と1名声点(3)だとさすがに2木の方が価値が高いが、2木(4)と1金(4)はほぼ等価と言って良いのでは」
くらい
もう少しだけ画素数を大きくすると、
粘土=8
木材=10
鉱石=11
名声点=12(開始時)→15(終了時)
お金=20(開始時)→15(終了時)
レンガ=22
鉄=25
って感じ(約5倍に拡大)
レーティングの根拠は以下(読み飛ばし推奨)
「下級資源の中でも、粘土(8)は運河を引いたときに得られるため若干価値が低い。木材(10)と鉱石(11)はほぼ同じ。
名声点は開始時(12)には使い道に乏しく相対的に低価値。反対に最終盤のヨセでは重要度が高まる(15)。
お金は最序盤得る手段がなく、めちゃ価値が高い(20)。が、毎ラウンド6金が場に流入し続けるため、終盤はインフレし、名声点と同水準(15)にまで価値が目減りする。
レンガ(22)と鉄(25)は、初期資源が0鉄1レンガスタートなのもあって、ほんの少し鉄が高価値」
数字のつけ方は完全な主観
反証や立証のしようもなくあまり意味がない
また実ゲームだと建物カードの要求コストや産出資源によって価値は増減する
なお、ホイールの回転は毎ラウンド収入として1回できるが、ゲーム中2金を支払うといつでもできる
この2金1回転はややコスパが悪く、1ゲームあたり0-2回程度しか行われない
「お金がジャブつく終盤などに、鉄かレンガがどうしても欲しいときにやる」
って感じ
これについて、
粘土(8)+木(10)+鉱石(11)=29
レンガ(22)+鉄(25)=47
差は18で、だいたい1金程度
「無料ならほぼやり得だけど、2金払ってのフリーアクションはちょっと損」
という実感とだいたい計算が合う
このフリアクのコストを、適正レートの1金でなく2金にしているのはセンスが良く、好感が持てる
もし1金にするとやるべきなのか微妙であり、プレイヤーがいちいち迷ってしまいテンポが削がれる
いつでもやれるフリアクはあえて非効率にして、
「できればやんない方がいいですよ」
と導線を引いてあげた方が無難で親切
先行作だとウヴェのディベロップしたテラミスティカ(2012)がまさにそうで、1金や1ワーカーを生み出すフリーアクション(パワーアクション)の変換レートは故意に低く設定されている
本作、鉱石を必要とするアクションは存在しない
全ての建物カードのコストにならない
4種の経路(運河、鉄道、道路、小道)のコストにもならない
じゃあ何のためにあるねんってところだが
ホイール回転のコストとなっている
回転では1木、1粘土、1鉱石を支払って1レンガと1鉄を得ている
ウヴェの先行作だと、アグリコラやカヴェルナの食料が最も近い実装
食料そのものを建設コストにする建物や小進歩カードはほぼない
が、定期的に食料支払いがあり、けっこうな手数を食料確保に持っていかれる
本作では各ラウンド終了時に、本来は2金かかる1回転が無料で行える
ウラを返すと、
「毎ラウンド終了時までに1木、1粘土、1鉱石を余らせておいてね。
さもないと、2金相当のボーナスをみすみす逃すことになるよ」
デザイナーのメッセージ
ペナルティとボーナスを裏返したような実装
アグリコラ(2007)→オラニエンブルガー運河(2022)と同じような反転を、別デザイナーのルチアーニがロレンツォ(2016)→グランドオーストリア(2015)
でやっている
ロレンツォにおける破門トラックは、進めていないと相当手痛いペナルティを食らう
オーストリアの皇帝トラックでもペナルティは形式的に存在するが、一定以上進めたときのボーナスがメインとなっている
両作ともとても素晴らしいが、破門トラックよりは皇帝トラックの方がプレイ感が良い
アグリコラの大進歩カードのコストに食料を入れてもゲームは成立するように
ただ、細かい言語化は省くが、あんまり美しくないよね
③起動効果の3つのデザイン的メリット
記事前半で記したが、本作はヌースのように建物カードを個人ボードに建てていく
ヌースに存在した永続能力やアクション強化をもたらす建物は全廃されて、すべての建物が即時効果を持っている
建物の周囲には経路(細長い紙タイル)を配置でき、周囲4辺を経路で囲い切ると建物の効果を起動できる
またそれと別で橋(木ゴマ)も建設でき、橋は2個接続するとまた効果が得られる
合計2回起動できるようになっている
この実装の良い点はおおまかに3点あげられる
[1]処理が明白
この実装の最大のメリットは処理の明白さ
永続効果を廃し、即時効果にするだけでほぼ処理忘れはゼロになるが、
・4辺を囲い切っている
・橋2本と接続している
と見た目でわかりやすいのもなおよい
とても明白で漏れがほぼ起き得ない
[2]ストーリーに起伏を
起動条件を2つに分けたことで、展開に起伏が生まれている
橋による起動は4,5枚建物カードを建ててから、ゲーム中盤からやることになる
・建物を建てる
・4辺を囲い切って1回目を起動する
・起動に使った経路を再利用すべく、他の建物を隣接して配置
・建物同士をつなぐように、橋も接続して2回目の起動を狙う
・最終的に橋を閉じ切る(閉じないかぎり、橋2本で1回起動、3本で2回起動…とN-1回しか起動できないが、閉じると4本で4回起動など、1回分多く起動できる)
と進行に応じてやるべきこと、やりたいことが変わっていく
デザイナー目線だと、即時効果だけで(永続効果ナシで)こういった起伏や盛り上がりを用意するのはなかなか難しい
どうしてももっと単調になってしまいやすい
引き合いに出すのは少々酷だが、フレイムクラフト(2022)を一例として出す
フレクラでは、資源を払って獲得したカードの効果は即座に適用される
・提示されたカードを買うべく資源を集める
・買ったカードから得たボーナスや、そのお釣りを使ってまた新しいものを買う
という流れは楽しいのだが、これは本来20-40分級向きの実装
アートワークとコンセプトが抜群に良く、掛け値なしの大成功作だが、システム面は本来90分向きではない
90分級に引き延ばしたのはマーケティング的な意味合いが強いと推測する
単価と購買者数的にもっとも売上が立つのは60-120分級の中~重量級であり、そこに合わせるべくやや無理やりプレイ時間を延ばしたと評価する
Flamecraft(2022)
[3]快感の前借り
(本節は戸塚さん、うちばこや氏のアイディアに拠る部分が大きい)
建物カードは即時的だが、建てた瞬間に適用するのでなく、発動を遅延させているのもワクワク感を向上させている
指令センター=個人ボード上の橋1個につき、異なる資源1個を得る(各1個ずつまで、最大7回)
このカードが典型的で、
「建てたあとに工夫してうまく起動させると、後々タダで最大7資源もらえる」
と書いてある
ちょっと言語化が難しいのだが、プレイヤーはこの建物を建てた時点で自分が7資源フルでもらった未来の像をイメージし、一定の幸福を感じている
「宝くじは夢を買っている(期待値的に買う意味がないが、買った時点で数億円手に入れた未来の像を空想することができる、実利云々でなく、そういう幸福感を買っている)」という言説に近い
仮にこのカードの実装を反転させ、
「建てた時点での橋の個数を記録しておき、今後の起動ではその個数に応じたボーナスしかもらえない」
とするとワクワク感が一気にしぼむ
(5)考察2:カード解剖
自分の備忘もかねて、特に印象的だったカードを各デッキ数枚ずつ挙げていく
①序盤のパワーカード―沿岸倉庫,工業用貯蔵庫
序盤の典型的な強カード
建てやすく素点も高い
特に沿岸倉庫の6点は破格であり、隣の工業用貯蔵庫の4点が適正数値
起動効果ももちろん強い、3種の下級資源が揃うのが強力
沿岸倉庫では粘土が湧かないが、運河を建てたおまけで粘土が生じる
この2枚に、Aデッキのカードは素直なものが多い
コストが高すぎず、起動効果もシンプルでバランスが良い
②勝つなら運河を―港湾事務所,催事会場
港湾事務所=運河4枚以上個人ボード上にあり、4/5/6/7枚の建物カードが運河と接しているなら5/6/7/8金を得る。
催事会場=2金を得る。道路1枚以上と接しているなら、配置した運河1枚×1名声点を得る。
中古品販売店=2/3/4種の経路と接しているなら、3金と0/1/2鉄を得る。
卸売店=隣接する経路の種類ごとに1木と1名声点を得る。
背景の物語が感じられる2枚
効果はほぼ同じで、たくさんの種類の経路と隣接させるほど起動効果が高まる
・運河(船)
・道路(馬車)
・線路(機関車)
・小道(市民)
であり、異なる経路が集まる結節点=多様な人間が利用する店 となる
そういった雑多な土地で中古品販売店は繁盛するのも納得
卸売店は、中古品販売店で得られるお金と鉄をそのまま建設コストに加えると建つ感じになっている
「中古品販売店が繁盛したから、2号店として卸売店を出店したのかな」的なストーリーが読み取れて楽しい
④名声点を支払う―保税倉庫,裏庭,船積みドック,貨幣鋳造所
保税倉庫=1名声点または2金を支払うと、レンガか鉄を3個になるまで補充する。
裏庭=小道1枚以下と接するとき、1名声点または2木を支払うと1鉄、1レンガ、3鉱石を得る。
船積みドック=線路1枚以上と接するとき、1名声点を支払い2レンガまたは2鉄を得る。道路1枚以上と接するとき、1名声点を支払い5鉱石または5金を得る。
貨幣鋳造所=道路2枚以上と接するとき1/2/3鉱石と1名声点を支払い5/6/7金と2木を得る。
記載が死ぬほど複雑だが、全部「名声点を支払って何か得る」と書いてある
この系統はAデッキでは0枚だったが、Bデッキでは4枚と多用されている
システム的にはアルマ・マータの勝利点の実装にかなり近い
既存のユーロの文脈だと、勝利点(名声点)は資源やアクションの変換の終着点
いちばん最後に得られるもので、勝利点から変換して何かを得ることはできなかった
が、アルマ・マータでは、
・増員の条件
・研究トラックを進める際のズル(条件無視)のペナルティ支払い
と、ゲーム途中の勝利点にいくらか意味を持たせている
Alma Mater (2020)
本作のBデッキも似た実装
「1名声点または2金を支払うと、レンガか鉄を3個になるまで補充する(保税倉庫の効果)」
を建てたプレイヤーは、
「2金払って3鉄でも悪くはない。でもせっかくなら名声点で払いたい、どこかで名声点は得られないか」
と工夫し始める
テーマ面において名声点とは何かを少し掘り下げる
支払うよりも得る手段を見る方が分かりやすい
音楽堂=運河1枚以上と隣接するとき、10/20/30金を支払って15/27/40名声点を得る。
アーケード=道路2枚以上と隣接するとき、その道路以外3/5/7/8枚以上あるとき、5金と2/4/6/7名声点を得る。
音楽堂ではパトロンとなり、コンサート(音楽会)を誘致している
たくさんのお金を支払うほど大規模な企画ができ、市民の支持を多く集め、また彼らの文化水準を高められる
アーケードは商店街を形成し、一般市民の雇用を安定させ、集客を生み出している
・人口
・市政への支持率
・市民の幸福度や文化レベル
・集客
・町の賑わい
的なフレーバーを持つカードに名声点が割り当てられている
名声点を支払う場合は市民の支持を損なうようなテーマがあてがわれやすい
さっきの写真の保税倉庫が好例
⑤経路の置き換え―建設チーム,近代化事務局
建設チーム=1名声点と3粘土を得る。小道1枚を道路1本への無料で置き換える。
近代化事務局=1枚以上の道路と隣接していて、印刷済の小道の置き換え数が0/1/2本のとき、4/6/8名声点を得る。
ややこしい記載だが、「無料の置き換えボーナス」と「置き換え回数に応じて得点」と記してある
本作、すでに配置してある小道を無料で除去でき、別なタイルを敷くことができる
普通に1手かかるし、建設コストも正規で支払うので基本的に手損
「どうしても起動効果を得たい人用の救済措置」って感じだったが
この2枚をはじめとして、Cデッキは置き換えを意識させるカードが多い
馬車停留場=2枚以上の道路と隣接していて、かつボード上に小道より多くの道路があるなら、4金と3名声点を得る。
計画開発局=1枚以上の道路と隣接しているなら2粘土を得る。ボード上の最も種類の少ない経路1枚ごとに1金を得る。
鉄鋼会社=小道と隣接していないなら、持っている鉄2個につき1回、鉄1つを4名声点に交換できる。
工業用住宅=2枚の道路か2枚の線路か2枚の運河と隣接している建物1枚につき1名声点を得る。
上記は小道を別な経路に置換させる方向性の4枚
フレーバーとしては小道=未舗装の生活道路であり、小道をより機能的な道路に作り変えるCデッキでプレイヤーが担うのは「近代的で計画的な設計、効率的な都市計画」って感じ
「計画開発局」「近代化事務局」など、建物名と挙動が合致していて好印
⑥フル起動欲をあおる―中間鉱石倉庫,鉱石加工会社,鉱石貯蔵所
中間鉱石倉庫=1回目の起動で4鉱石を得る。2回目の起動で2/4鉱石を支払い、7/10金を得る。
鉱石加工会社=2道路と隣接するとき、1/2回目の起動で、4/1鉱石を支払い、8名声点を得る。
鉱石貯蔵所=2線路と隣接するとき、1/2回目の起動で、3/5鉱石を支払い、4/12名声点を得る。
建物は、
・経路4枚で囲い切る
・橋2個と接続する
で起動する
全建物中、ざっくり半数が2回起動はできない
(両プレイヤー合わせて橋は12-14本。建物11枚建てて6橋取れたとしたら、5-6枚のみ起動)
「建てたからには全部2回起動させたいよね
でも全部起動させる手数は用意されてないよ」
と欲求を煽る構造なのだが
この3枚はさらに、
「建てたからには2回目の起動までいけると本当にお得だよ」
と煽っている
このゲーム、感想戦で、
「なんでなんだろ、鉱石が大事なときにいつもちょっと足りなくなる
全然使ってるつもりないのに」
とクレカ浪費マンのような台詞が発せられがちなのだが
この3枚をはじめとした高効率カードの起動コストが軒並み鉱石で、そこで支払っている影響が大きいと思われる
(6)総評
ウヴェの傑作群と比べてしまうのはやや荷が勝つが、見るべきところのある良作だと評価する
・1-2人用というレンジの狭さ
・カードの強弱がややラフ
この2点は明白な短所
ただ、アルルの丘(2014)の紅茶と貿易拡張(2017)(2人専用のアルルの3人戦拡張)のように、人数を増やす余地もある
シュピールヴォルクス社がもし売上に対して手ごたえを感じているなら、そういった拡張も出され得ると思われる
プレイし、きちんと面白い良作だと評価したため記事化する
(1)基本情報
(2)テーマ
(3)魅力
①ヌースフィヨルドの後継者
②拡大、成長感はひかえめ
③やや理不尽な勝敗決着
④ウヴェ作品のなかで最もアドリブ寄り
⑤資源ホイールはオンリーワン的で◎
(4)考察1:システム面の読解
①資源のレート
②鉱石とは何か?
③起動効果の3つのデザイン的メリット
[1]処理が明白
[2]ストーリーに起伏を
[3]快感の前借り
(5)考察2:カード解剖
(5)考察2:カード解剖
①序盤のパワーカード―沿岸倉庫,工業用貯蔵庫
②勝つなら運河を―港湾事務所,催事会場
③経時変化を映す―中古品販売店,卸売店
④名声点を支払う―保税倉庫,裏庭,船積みドック,貨幣鋳造所
⑤経路の置き換え―建設チーム,近代化事務局
⑥フル起動欲をあおる―中間鉱石倉庫,鉱石加工会社,鉱石貯蔵所
(6)総評Designer Uwe Rosenberg
Artist Harald Lieske
Publisher Spielworxx
(1)基本情報
人数:1-2人(2人ベスト)
時間:60-120分(初回インスト込み120分、慣れれば60分)
複雑性:3.05 (参考値:ヌースフィヨルド=2.84、ブルゴーニュの城=2.99)
ランク:4200位 (2023/3)
要素:7つのアクションスペースのシンプルワカプレ、ホイール上の資源管理、19世紀ドイツ、産業革命、馬車、運河、鉄道
言語依存:一定あり(カードに言語依存なく秘匿情報もないが、リファレンスを読まないとプレイ不可能)
流通:テンデイズゲームズから日本語版が販売されている。和訳のクオリティめちゃ高い
人数:1-2人(2人ベスト)
時間:60-120分(初回インスト込み120分、慣れれば60分)
複雑性:3.05 (参考値:ヌースフィヨルド=2.84、ブルゴーニュの城=2.99)
ランク:4200位 (2023/3)
要素:7つのアクションスペースのシンプルワカプレ、ホイール上の資源管理、19世紀ドイツ、産業革命、馬車、運河、鉄道
言語依存:一定あり(カードに言語依存なく秘匿情報もないが、リファレンスを読まないとプレイ不可能)
流通:テンデイズゲームズから日本語版が販売されている。和訳のクオリティめちゃ高い
デザイナー:
ウヴェ・ローゼンベルグ
アグリコラ(2007)やオーディンの祝祭(2016)をはじめ、本当に良いものをいろいろ作っている
アーティスト:
ハラルド・リースケ/Harald Lieskeはドイツのミュンスター在住のアーティスト
男性、現在48歳
大学のデザイン学科を卒業後、ゲームアートとコミックの分野を志し、ボードゲーム業界では28歳時にデビュー
インカの秘宝(2005)など、自身でシステムを手がけた作品も
Inka(2005)
アート方面の代表作は、
・電力会社(2F-Spiele)
・プエルトリコ(alea)
・ブルゴーニュの城(alea)
・ノートルダム(alea)
など
alea(アレア)社を中心に幅広い出版社の作品を手がけている
シュピールヴォルクス社(オラニエを出した会社)の先行作だと、
・ラ・グランハ(2014)
・アークライト(2014)
・ジェンティス(2017)
など
Gentes(2017)
アグリコラ(2007)やオーディンの祝祭(2016)をはじめ、本当に良いものをいろいろ作っている
アーティスト:
ハラルド・リースケ/Harald Lieskeはドイツのミュンスター在住のアーティスト
男性、現在48歳
大学のデザイン学科を卒業後、ゲームアートとコミックの分野を志し、ボードゲーム業界では28歳時にデビュー
インカの秘宝(2005)など、自身でシステムを手がけた作品も
Inka(2005)
アート方面の代表作は、
・電力会社(2F-Spiele)
・プエルトリコ(alea)
・ブルゴーニュの城(alea)
・ノートルダム(alea)
など
alea(アレア)社を中心に幅広い出版社の作品を手がけている
シュピールヴォルクス社(オラニエを出した会社)の先行作だと、
・ラ・グランハ(2014)
・アークライト(2014)
・ジェンティス(2017)
など
Gentes(2017)
(2)テーマ
オラニエンブルクはドイツの地方都市
人口は45000人、北海道登別市(45000)や和歌山県海南市(47000)とだいたい同規模
オラニエンブルクはドイツの地方都市
人口は45000人、北海道登別市(45000)や和歌山県海南市(47000)とだいたい同規模
ベルリンからは約40km(車で45分)とかなり近い
オラニエンブルクは直訳するとオレンジキャッスル
特にみかんにゆかりはなく、オラニエはオランダ語
プロイセン公(ドイツ全土を治めた領主)にオランダ王家のオラニエ=ナッサウ家から令嬢が嫁いできた(1646年)
令嬢ルイーゼ・ヘンリエッテ・フォン・オラニエンにプロイセン公がプレゼントしたのがこの町
ルイーゼが領地に建てさせたオランダスタイルの城がオラニエンブルク
元々ベッツォウという町名だったがオラニエンブルクに改名
Das Schloss Oranienburg
この200年後の1832-1837年がゲームの舞台
白黒ブラスが1770-1870年であり、ちょうど同時代
Brass:Birmingham(2018)
テーマもほぼドイツ版ブラスと言って良く、産業革命期のドイツ(当時はプロイセン)の地方小都市オラニエンブルグの発展に寄与する
ブラス同様運河を引き、鉄道を敷き、窯元や製鉄所を立ち上げる
ブラスにおいてプレイヤーはこれらの事業を手際よくやって大英帝国の牛耳ろうとする起業家となるが
本作ではプレイヤーの役割はルールブックに記されていない
国家規模の青地図を描くワレスと対照的に、もう少し小規模で家庭的な作風がウヴェの持ち味
記載はないが、オラニエンブルグの自治を任された地元出身の行政官くらいだと捉えている
余談だが、プレイヤーが誰で何をする人なのか明白であるほど、没入感が高まり、プレイ体験の質が向上する
ウヴェ作だと、
アグリコラ
プレイヤー=14世紀ごろのドイツあたりの貧乏な封建領主となる。
目的:召使や領民はいるが資産がない。この困窮から抜け出し、家族を養い発展しよう。
カヴェルナ
プレイヤー=ドワーフ、エルフ、人間などファンタジー世界の住人。
目的:狩猟採集と農耕で自身の生活を豊かにしよう。
オーディン
プレイヤー=10世紀ごろの北欧あたりのヴァイキング
これらは入っていきやすい
反対に、
ルアーヴル
港湾都市ルアーヴルの成長が描かれる
が、プレイヤー自身にあまりフォーカスされない
ヌースフィヨルド
ヌースフィヨルド村の発展を描いている
が、村長たちは別におり、プレイヤーが誰であるのか明白でない
などは少し曖昧で散漫、やや没入感を欠く
オラニエンブルガーは、ウヴェ作のなかでは変わり種的なテーマでめちゃ面白いが、質感は後者寄りと言わざるを得ない
(3)魅力
①ヌースフィヨルドの後継者
ウヴェの先行作群のいくつかのミクスチャなのだが、ヌースフィヨルドが手触りとしてもっとも近い
ヌースフィヨルドのプロフィールは以下
・1-5人用のワカプレ
・7ラウンド21手
・60-90分
・魚と木材=所持制限のある下級資源
・お金=序盤流入に乏しいが、上限なく持てる上級資源
・森を切り拓き、個人ボードに10枚前後の建物カードを建てる
・カードに拡張性があり、ミニ拡張で違ったプレイ感を楽しめる
オラニエンブルガー運河を同形式で記すと、
・1-2人用のワカプレ
・10-11ラウンド25-27手
・60-90分
・下級3種、上級2種の所持制限が課されたホイール上の5資源
・上限なく持てるお金と名声点
・経路や橋を用意し、個人ボードに10枚前後の建物カードを建てる
・カードに拡張性がある
②拡大、成長感はひかえめ
拡大再生産感の弱さも特徴的だ
先行作の典型例だと、
・ワーカー(手数)を増やす(アグリコラ、カヴェルナの増員)
・ワーカーを強化(カヴェルナの武装)
・定期収入(アグリコラ、カヴェルナの農業と畜産、オーディンの収入、ヌースの魚収入)
・食料支払いの軽減(ルアーブルの造船)
・永続能力の付与(アグリコラの職業、ヌースの一部建物)
あたりがあったが、全部ない
手数は決まっていて増えない
なぜそうしているかだが
単に取り得な拡大パーツを配るような実装(永続的に使えるワーカーや、無制限に繁殖を繰り返す羊など)にウヴェ自身が飽きているのだと推測する
ちょっと
・アグリコラ
単純な増員
・ルアーヴル
造船による食料支払いを軽減
食料を取る手が浮くため実質的な手数増加だが、アグリコラの非対称的な手数増加がはらむ理不尽感やダウンタイムを解決できている
洛陽の門
畑が毎ラウンド野菜コマをもたらす
これも造船同様、増員の近似概念だが、過去2作と違って畑は複数回起動させると壊れる
この畑の実装が、永続的に、無限に起動させられる増員や造船と違った面白さを生んでいる
土地が痩せるテーマとも合っていて◎
と、時代を経るにつれアレンジを繰り返してきたが
オラニエの建物カードの挙動は洛陽の畑と少し似ている
建物は2回だけ起動でき、その都度即時効果を発揮する
記事後半で改めて触れるが、建物周りの実装はとても好印象
拡大・成長感が弱いゲームで生じ勝ちな単調さやマンネリ感を巧妙に回避している
③やや理不尽な勝敗決着
本作を最も勧めにくくしている要因
カードの強弱がかなり激しい
150点がウイニングスコアのゲームで、ぶっ壊れカードは2回フル起動させると1枚で40点くらい出てしまう
弱いカードは10点くらいしか出ない
どうしても気になるなら、
「あのヤバかったカードBANにしてもう1回やろう」で全く問題がない
警察官舎=ボード上の線路、運河、橋がそれぞれ2/3/4/5枚以上なら、4/6/9/12金を得る
本作360枚中、最も強力で理不尽な一例
なお、若干煩雑さは増すが、
・各時代開始時に両プレイヤーがデッキ20枚から6枚を山引きし手札として持つ
・スタートプレイヤーがカード補充時に手札からカードを出す
・両プレイヤーの合計残り手札枚数が3/5/4枚以下になったら1/2/3時代目を終えて、残り手札は一度全部捨てる(基本ルールと同じ9/7/8枚を使用)
筆者はこのバリアントルールでやっている
・勝敗に対する納得感が増す
・素点が全体的に伸び、やりたいことがやれる
などかなり自分の好みに寄る
④ウヴェ作品のなかで最もアドリブ寄り
戦略的/場当たり的、
・戦略的/開始時にやりたかったことは大体やれる/中盤までに終了形の見通しがつく/互いの意図や主張がある程度見える/実力者が勝ちやすい
・場当たり的/「これをやり通したい」みたいな長期目標を持ちづらい/数手先は隠して読ませない/相手との押し引きよりガチャやダイス運を乗りこなす楽しさを/実力差が出にくい
オラニエンブルクは直訳するとオレンジキャッスル
特にみかんにゆかりはなく、オラニエはオランダ語
プロイセン公(ドイツ全土を治めた領主)にオランダ王家のオラニエ=ナッサウ家から令嬢が嫁いできた(1646年)
令嬢ルイーゼ・ヘンリエッテ・フォン・オラニエンにプロイセン公がプレゼントしたのがこの町
ルイーゼが領地に建てさせたオランダスタイルの城がオラニエンブルク
元々ベッツォウという町名だったがオラニエンブルクに改名
Das Schloss Oranienburg
この200年後の1832-1837年がゲームの舞台
白黒ブラスが1770-1870年であり、ちょうど同時代
Brass:Birmingham(2018)
テーマもほぼドイツ版ブラスと言って良く、産業革命期のドイツ(当時はプロイセン)の地方小都市オラニエンブルグの発展に寄与する
ブラス同様運河を引き、鉄道を敷き、窯元や製鉄所を立ち上げる
ブラスにおいてプレイヤーはこれらの事業を手際よくやって大英帝国の牛耳ろうとする起業家となるが
本作ではプレイヤーの役割はルールブックに記されていない
国家規模の青地図を描くワレスと対照的に、もう少し小規模で家庭的な作風がウヴェの持ち味
記載はないが、オラニエンブルグの自治を任された地元出身の行政官くらいだと捉えている
余談だが、プレイヤーが誰で何をする人なのか明白であるほど、没入感が高まり、プレイ体験の質が向上する
ウヴェ作だと、
アグリコラ
プレイヤー=14世紀ごろのドイツあたりの貧乏な封建領主となる。
目的:召使や領民はいるが資産がない。この困窮から抜け出し、家族を養い発展しよう。
カヴェルナ
プレイヤー=ドワーフ、エルフ、人間などファンタジー世界の住人。
目的:狩猟採集と農耕で自身の生活を豊かにしよう。
オーディン
プレイヤー=10世紀ごろの北欧あたりのヴァイキング
これらは入っていきやすい
反対に、
ルアーヴル
港湾都市ルアーヴルの成長が描かれる
が、プレイヤー自身にあまりフォーカスされない
ヌースフィヨルド
ヌースフィヨルド村の発展を描いている
が、村長たちは別におり、プレイヤーが誰であるのか明白でない
などは少し曖昧で散漫、やや没入感を欠く
オラニエンブルガーは、ウヴェ作のなかでは変わり種的なテーマでめちゃ面白いが、質感は後者寄りと言わざるを得ない
(3)魅力
①ヌースフィヨルドの後継者
ウヴェの先行作群のいくつかのミクスチャなのだが、ヌースフィヨルドが手触りとしてもっとも近い
ヌースフィヨルドのプロフィールは以下
・1-5人用のワカプレ
・7ラウンド21手
・60-90分
・魚と木材=所持制限のある下級資源
・お金=序盤流入に乏しいが、上限なく持てる上級資源
・森を切り拓き、個人ボードに10枚前後の建物カードを建てる
・カードに拡張性があり、ミニ拡張で違ったプレイ感を楽しめる
オラニエンブルガー運河を同形式で記すと、
・1-2人用のワカプレ
・10-11ラウンド25-27手
・60-90分
・下級3種、上級2種の所持制限が課されたホイール上の5資源
・上限なく持てるお金と名声点
・経路や橋を用意し、個人ボードに10枚前後の建物カードを建てる
・カードに拡張性がある
②拡大、成長感はひかえめ
拡大再生産感の弱さも特徴的だ
先行作の典型例だと、
・ワーカー(手数)を増やす(アグリコラ、カヴェルナの増員)
・ワーカーを強化(カヴェルナの武装)
・定期収入(アグリコラ、カヴェルナの農業と畜産、オーディンの収入、ヌースの魚収入)
・食料支払いの軽減(ルアーブルの造船)
・永続能力の付与(アグリコラの職業、ヌースの一部建物)
あたりがあったが、全部ない
手数は決まっていて増えない
なぜそうしているかだが
単に取り得な拡大パーツを配るような実装(永続的に使えるワーカーや、無制限に繁殖を繰り返す羊など)にウヴェ自身が飽きているのだと推測する
ちょっと
・アグリコラ
単純な増員
・ルアーヴル
造船による食料支払いを軽減
食料を取る手が浮くため実質的な手数増加だが、アグリコラの非対称的な手数増加がはらむ理不尽感やダウンタイムを解決できている
洛陽の門
畑が毎ラウンド野菜コマをもたらす
これも造船同様、増員の近似概念だが、過去2作と違って畑は複数回起動させると壊れる
この畑の実装が、永続的に、無限に起動させられる増員や造船と違った面白さを生んでいる
土地が痩せるテーマとも合っていて◎
と、時代を経るにつれアレンジを繰り返してきたが
オラニエの建物カードの挙動は洛陽の畑と少し似ている
建物は2回だけ起動でき、その都度即時効果を発揮する
記事後半で改めて触れるが、建物周りの実装はとても好印象
拡大・成長感が弱いゲームで生じ勝ちな単調さやマンネリ感を巧妙に回避している
③やや理不尽な勝敗決着
本作を最も勧めにくくしている要因
カードの強弱がかなり激しい
150点がウイニングスコアのゲームで、ぶっ壊れカードは2回フル起動させると1枚で40点くらい出てしまう
弱いカードは10点くらいしか出ない
どうしても気になるなら、
「あのヤバかったカードBANにしてもう1回やろう」で全く問題がない
警察官舎=ボード上の線路、運河、橋がそれぞれ2/3/4/5枚以上なら、4/6/9/12金を得る
本作360枚中、最も強力で理不尽な一例
なお、若干煩雑さは増すが、
・各時代開始時に両プレイヤーがデッキ20枚から6枚を山引きし手札として持つ
・スタートプレイヤーがカード補充時に手札からカードを出す
・両プレイヤーの合計残り手札枚数が3/5/4枚以下になったら1/2/3時代目を終えて、残り手札は一度全部捨てる(基本ルールと同じ9/7/8枚を使用)
筆者はこのバリアントルールでやっている
・勝敗に対する納得感が増す
・素点が全体的に伸び、やりたいことがやれる
などかなり自分の好みに寄る
④ウヴェ作品のなかで最もアドリブ寄り
戦略的/場当たり的、
・戦略的/開始時にやりたかったことは大体やれる/中盤までに終了形の見通しがつく/互いの意図や主張がある程度見える/実力者が勝ちやすい
・場当たり的/「これをやり通したい」みたいな長期目標を持ちづらい/数手先は隠して読ませない/相手との押し引きよりガチャやダイス運を乗りこなす楽しさを/実力差が出にくい
のどっちかにボードゲームは偏りがち
ユーザーごとに好みのレンジは違うし、デザイナーも得意のレンジを持っている
ウヴェは戦略寄りのデザイナーで、代表作の戦略的:場当たり的の比率はざっくり以下
なお数値は完全に主観であり、特に論拠がない
カヴェルナ=8:2
かなり戦略寄り。
途中のアクションスペースのめくれ以外ランダム要素、運要素なし。
ほぼ完全公開情報ゲーム。
基本版の硬さに対して、氏族拡張(忘れられた氏族)による非対称的なセットアップや狂乱の魔物拡張はよりゲームを柔らかく、解きほぐす方向で働いている。
アグリコラ=7:3
最初の14枚のカード配布とアクションスペースのめくれのみ運要素あり。
ヌース=6:4
建物カードのめくれ運は強いが、多くの枚数がめくれる。
特に強力な最後の得点系カードは各プレイヤーに一部公開されており、下準備もできる。
オーディン=5:5
・捕鯨や略奪ダイスのブレ
・職業カードのめくれ
・食料供給ラウンド(拡張要素)
と、とても運要素は多い。
けっこうなアドリブ力を試される。
これらと比べると、
オラニエンブルガー運河=3:7
都度めくられる建物カードを活かしてアドリブ的に立ち回る必要がある。
また、ホイールからあふれた資源が蒸発する仕様が、
「ここは資源をため込んで…」
という長期計画を阻んでいる。
比較的マシなものを手早く建てて、手元に資源を残しすぎない必要がある。
なお余談だが、アドリブ性や場当たり性が上がるほどベスト人数は減る傾向にある
カヴェルナ基本版=4人ベスト
アグリコラ=4,5人ベスト
カヴェルナ氏族拡張=2,3人ベスト
オーディン=2,3人ベスト
ヌース=2、3人ベスト
オラニエ=1,2人
・戦略寄りで運が介在しづらいゲームは、他プレイヤーを乱数の意味合いで導入した方が楽しさが底上げされ、多人数戦の高評価につながる
・場当たり的、アドリブ的なゲームは手番中の思考時間が延びやすく、ダウンタイム軽減の意味で少人数戦の方が評価されやすい
・特にダイスが顕著だが、とても強い乱数要素が介在する場合、2人など少人数ベストとされやすい(参考:ブルゴーニュの城、グランドオーストリアホテル、ティルトゥム)
あたりが原因と思われる
⑤資源ホイールはオンリーワン的で◎
粘土、木材、鉱石の3種の下級資源とレンガ、鉄の2種の上級資源を管理する
資源を得たり払ったりすると、トラック上の資源トークンを動かす
ここまではガイアプロジェクトの建材とお金トラックと同じ単なるトラック管理だが
毎ラウンド開始時、ホイールを回転させる収入が得られる
このとき、
「3種の下級資源を1個ずつ支払って、2種の上級資源を1個ずつ得る」
という処理が起きている
上の画像だと、「2鉱石、2粘土、3木、1鉄、3レンガ」持っていたのが、
ホイールを回転させると、「1鉱石、1粘土、2木、2鉄、4レンガ」に変化する
フレーバー的には、木材を燃料として、鉱石(粗鋼)を精錬して鉄にし、粘土を焼いてレンガを作っている
未プレイの方は実機を触るか、hal99さんの動画なんかを観られる方が手っ取り早く分かりやすいのだが
ここの実装は抜群に良い
「ああ、ここが一番やりたかった部分なんだろうな」
と思わせてくれる
・下級資源コマ3個をストックに返して、ストックから上級資源コマ2個を取る
という工数の多い仕事を、
・ホイールを1/16回転させる
で置換している
オーディンのインタビューで、
「これまで動物コマをストックに返して、2食料をストックから取って、それを収穫フェイズにまたストックに返すことで食料供給をやっていた。
でも動物をポリオミノタイルにして、給仕ボード上に乗せさせたらどうだろう?
食料支払いがもっと直観的に分かりやすくなるし、かつ処理も簡単になるよね」
という旨の発言をしていたが、同種の優れたソリューションだ
ホイール上での資源管理は、祈り働け(2011)とルアーヴル・内陸港(2012)でもやっていたが
今回の仕様は知る限り誰もやったことがなかったもので、新奇性がとても高い
大げさに記すなら、ユーロゲームをまた1歩前進させる小さな発明だと評価する
Ora et Labora (2011)
Le Havre: The Inland Port (2012)
以後既プレイの方向けの記載となる
①資源のレート
おおざっぱに、各資源の価値は、
粘土、木材、鉱石=2
名声点=3
お金=4
レンガ、鉄=5
くらい
「1レンガ(5)は2粘土(4)よりは価値高いけど、3粘土(6)には及ばないくらいかな。
2木(4)と1名声点(3)だとさすがに2木の方が価値が高いが、2木(4)と1金(4)はほぼ等価と言って良いのでは」
くらい
もう少しだけ画素数を大きくすると、
粘土=8
木材=10
鉱石=11
名声点=12(開始時)→15(終了時)
お金=20(開始時)→15(終了時)
レンガ=22
鉄=25
って感じ(約5倍に拡大)
レーティングの根拠は以下(読み飛ばし推奨)
「下級資源の中でも、粘土(8)は運河を引いたときに得られるため若干価値が低い。木材(10)と鉱石(11)はほぼ同じ。
名声点は開始時(12)には使い道に乏しく相対的に低価値。反対に最終盤のヨセでは重要度が高まる(15)。
お金は最序盤得る手段がなく、めちゃ価値が高い(20)。が、毎ラウンド6金が場に流入し続けるため、終盤はインフレし、名声点と同水準(15)にまで価値が目減りする。
レンガ(22)と鉄(25)は、初期資源が0鉄1レンガスタートなのもあって、ほんの少し鉄が高価値」
数字のつけ方は完全な主観
反証や立証のしようもなくあまり意味がない
また実ゲームだと建物カードの要求コストや産出資源によって価値は増減する
なお、ホイールの回転は毎ラウンド収入として1回できるが、ゲーム中2金を支払うといつでもできる
この2金1回転はややコスパが悪く、1ゲームあたり0-2回程度しか行われない
「お金がジャブつく終盤などに、鉄かレンガがどうしても欲しいときにやる」
って感じ
これについて、
粘土(8)+木(10)+鉱石(11)=29
レンガ(22)+鉄(25)=47
差は18で、だいたい1金程度
「無料ならほぼやり得だけど、2金払ってのフリーアクションはちょっと損」
という実感とだいたい計算が合う
このフリアクのコストを、適正レートの1金でなく2金にしているのはセンスが良く、好感が持てる
もし1金にするとやるべきなのか微妙であり、プレイヤーがいちいち迷ってしまいテンポが削がれる
いつでもやれるフリアクはあえて非効率にして、
「できればやんない方がいいですよ」
と導線を引いてあげた方が無難で親切
先行作だとウヴェのディベロップしたテラミスティカ(2012)がまさにそうで、1金や1ワーカーを生み出すフリーアクション(パワーアクション)の変換レートは故意に低く設定されている
Terra Mystica (2012)
②鉱石とは何か?本作、鉱石を必要とするアクションは存在しない
全ての建物カードのコストにならない
4種の経路(運河、鉄道、道路、小道)のコストにもならない
じゃあ何のためにあるねんってところだが
ホイール回転のコストとなっている
回転では1木、1粘土、1鉱石を支払って1レンガと1鉄を得ている
ウヴェの先行作だと、アグリコラやカヴェルナの食料が最も近い実装
食料そのものを建設コストにする建物や小進歩カードはほぼない
が、定期的に食料支払いがあり、けっこうな手数を食料確保に持っていかれる
本作では各ラウンド終了時に、本来は2金かかる1回転が無料で行える
ウラを返すと、
「毎ラウンド終了時までに1木、1粘土、1鉱石を余らせておいてね。
さもないと、2金相当のボーナスをみすみす逃すことになるよ」
デザイナーのメッセージ
ペナルティとボーナスを裏返したような実装
アグリコラ(2007)→オラニエンブルガー運河(2022)と同じような反転を、別デザイナーのルチアーニがロレンツォ(2016)→グランドオーストリア(2015)
でやっている
ロレンツォにおける破門トラックは、進めていないと相当手痛いペナルティを食らう
オーストリアの皇帝トラックでもペナルティは形式的に存在するが、一定以上進めたときのボーナスがメインとなっている
両作ともとても素晴らしいが、破門トラックよりは皇帝トラックの方がプレイ感が良い
Lorenzo il Magnifico (2016)
余談だが、鉱石を経路や建物タイルのコストに含めることは可能っちゃ可能アグリコラの大進歩カードのコストに食料を入れてもゲームは成立するように
ただ、細かい言語化は省くが、あんまり美しくないよね
③起動効果の3つのデザイン的メリット
記事前半で記したが、本作はヌースのように建物カードを個人ボードに建てていく
ヌースに存在した永続能力やアクション強化をもたらす建物は全廃されて、すべての建物が即時効果を持っている
建物の周囲には経路(細長い紙タイル)を配置でき、周囲4辺を経路で囲い切ると建物の効果を起動できる
またそれと別で橋(木ゴマ)も建設でき、橋は2個接続するとまた効果が得られる
合計2回起動できるようになっている
この実装の良い点はおおまかに3点あげられる
[1]処理が明白
この実装の最大のメリットは処理の明白さ
永続効果を廃し、即時効果にするだけでほぼ処理忘れはゼロになるが、
・4辺を囲い切っている
・橋2本と接続している
と見た目でわかりやすいのもなおよい
とても明白で漏れがほぼ起き得ない
[2]ストーリーに起伏を
起動条件を2つに分けたことで、展開に起伏が生まれている
橋による起動は4,5枚建物カードを建ててから、ゲーム中盤からやることになる
・建物を建てる
・4辺を囲い切って1回目を起動する
・起動に使った経路を再利用すべく、他の建物を隣接して配置
・建物同士をつなぐように、橋も接続して2回目の起動を狙う
・最終的に橋を閉じ切る(閉じないかぎり、橋2本で1回起動、3本で2回起動…とN-1回しか起動できないが、閉じると4本で4回起動など、1回分多く起動できる)
と進行に応じてやるべきこと、やりたいことが変わっていく
デザイナー目線だと、即時効果だけで(永続効果ナシで)こういった起伏や盛り上がりを用意するのはなかなか難しい
どうしてももっと単調になってしまいやすい
引き合いに出すのは少々酷だが、フレイムクラフト(2022)を一例として出す
フレクラでは、資源を払って獲得したカードの効果は即座に適用される
・提示されたカードを買うべく資源を集める
・買ったカードから得たボーナスや、そのお釣りを使ってまた新しいものを買う
という流れは楽しいのだが、これは本来20-40分級向きの実装
アートワークとコンセプトが抜群に良く、掛け値なしの大成功作だが、システム面は本来90分向きではない
90分級に引き延ばしたのはマーケティング的な意味合いが強いと推測する
単価と購買者数的にもっとも売上が立つのは60-120分級の中~重量級であり、そこに合わせるべくやや無理やりプレイ時間を延ばしたと評価する
Flamecraft(2022)
[3]快感の前借り
(本節は戸塚さん、うちばこや氏のアイディアに拠る部分が大きい)
建物カードは即時的だが、建てた瞬間に適用するのでなく、発動を遅延させているのもワクワク感を向上させている
指令センター=個人ボード上の橋1個につき、異なる資源1個を得る(各1個ずつまで、最大7回)
このカードが典型的で、
「建てたあとに工夫してうまく起動させると、後々タダで最大7資源もらえる」
と書いてある
ちょっと言語化が難しいのだが、プレイヤーはこの建物を建てた時点で自分が7資源フルでもらった未来の像をイメージし、一定の幸福を感じている
「宝くじは夢を買っている(期待値的に買う意味がないが、買った時点で数億円手に入れた未来の像を空想することができる、実利云々でなく、そういう幸福感を買っている)」という言説に近い
仮にこのカードの実装を反転させ、
「建てた時点での橋の個数を記録しておき、今後の起動ではその個数に応じたボーナスしかもらえない」
とするとワクワク感が一気にしぼむ
(5)考察2:カード解剖
自分の備忘もかねて、特に印象的だったカードを各デッキ数枚ずつ挙げていく
①序盤のパワーカード―沿岸倉庫,工業用貯蔵庫
工業用貯蔵庫=小道1本以下と隣接しているなら、2木、2粘土、2鉱石を得る。
序盤の典型的な強カード
建てやすく素点も高い
特に沿岸倉庫の6点は破格であり、隣の工業用貯蔵庫の4点が適正数値
起動効果ももちろん強い、3種の下級資源が揃うのが強力
沿岸倉庫では粘土が湧かないが、運河を建てたおまけで粘土が生じる
この2枚に、Aデッキのカードは素直なものが多い
コストが高すぎず、起動効果もシンプルでバランスが良い
②勝つなら運河を―港湾事務所,催事会場
港湾事務所=運河4枚以上個人ボード上にあり、4/5/6/7枚の建物カードが運河と接しているなら5/6/7/8金を得る。
催事会場=2金を得る。道路1枚以上と接しているなら、配置した運河1枚×1名声点を得る。
運河、道路、鉄道と3種の経路のうちの運河のコンボパーツ
詳細省くが、
運河=10.0(中コスト、建てる機会少なめ、めちゃ強い)
道路=8.0(低コスト、建てる機会多い、単純に強力)
線路=3.0(高コスト、建てる機会少なめ、強いがなかなか建たない)
くらいパワー差がある
運河自体も強いがコンボパーツも強力なものが多い
なかでも港湾事務所&催事会場は、
「このゲームは基本的には運河をやって勝つんだよ」
と教えてくれる2枚
これを取られたら運河2本引きのアクションをカットし続けましょう
③経時変化を映す―中古品販売店,卸売店
詳細省くが、
運河=10.0(中コスト、建てる機会少なめ、めちゃ強い)
道路=8.0(低コスト、建てる機会多い、単純に強力)
線路=3.0(高コスト、建てる機会少なめ、強いがなかなか建たない)
くらいパワー差がある
運河自体も強いがコンボパーツも強力なものが多い
なかでも港湾事務所&催事会場は、
「このゲームは基本的には運河をやって勝つんだよ」
と教えてくれる2枚
これを取られたら運河2本引きのアクションをカットし続けましょう
③経時変化を映す―中古品販売店,卸売店
中古品販売店=2/3/4種の経路と接しているなら、3金と0/1/2鉄を得る。
卸売店=隣接する経路の種類ごとに1木と1名声点を得る。
背景の物語が感じられる2枚
効果はほぼ同じで、たくさんの種類の経路と隣接させるほど起動効果が高まる
・運河(船)
・道路(馬車)
・線路(機関車)
・小道(市民)
であり、異なる経路が集まる結節点=多様な人間が利用する店 となる
そういった雑多な土地で中古品販売店は繁盛するのも納得
卸売店は、中古品販売店で得られるお金と鉄をそのまま建設コストに加えると建つ感じになっている
「中古品販売店が繁盛したから、2号店として卸売店を出店したのかな」的なストーリーが読み取れて楽しい
④名声点を支払う―保税倉庫,裏庭,船積みドック,貨幣鋳造所
保税倉庫=1名声点または2金を支払うと、レンガか鉄を3個になるまで補充する。
裏庭=小道1枚以下と接するとき、1名声点または2木を支払うと1鉄、1レンガ、3鉱石を得る。
船積みドック=線路1枚以上と接するとき、1名声点を支払い2レンガまたは2鉄を得る。道路1枚以上と接するとき、1名声点を支払い5鉱石または5金を得る。
貨幣鋳造所=道路2枚以上と接するとき1/2/3鉱石と1名声点を支払い5/6/7金と2木を得る。
記載が死ぬほど複雑だが、全部「名声点を支払って何か得る」と書いてある
この系統はAデッキでは0枚だったが、Bデッキでは4枚と多用されている
システム的にはアルマ・マータの勝利点の実装にかなり近い
既存のユーロの文脈だと、勝利点(名声点)は資源やアクションの変換の終着点
いちばん最後に得られるもので、勝利点から変換して何かを得ることはできなかった
が、アルマ・マータでは、
・増員の条件
・研究トラックを進める際のズル(条件無視)のペナルティ支払い
と、ゲーム途中の勝利点にいくらか意味を持たせている
Alma Mater (2020)
本作のBデッキも似た実装
「1名声点または2金を支払うと、レンガか鉄を3個になるまで補充する(保税倉庫の効果)」
を建てたプレイヤーは、
「2金払って3鉄でも悪くはない。でもせっかくなら名声点で払いたい、どこかで名声点は得られないか」
と工夫し始める
テーマ面において名声点とは何かを少し掘り下げる
支払うよりも得る手段を見る方が分かりやすい
音楽堂=運河1枚以上と隣接するとき、10/20/30金を支払って15/27/40名声点を得る。
アーケード=道路2枚以上と隣接するとき、その道路以外3/5/7/8枚以上あるとき、5金と2/4/6/7名声点を得る。
音楽堂ではパトロンとなり、コンサート(音楽会)を誘致している
たくさんのお金を支払うほど大規模な企画ができ、市民の支持を多く集め、また彼らの文化水準を高められる
アーケードは商店街を形成し、一般市民の雇用を安定させ、集客を生み出している
・人口
・市政への支持率
・市民の幸福度や文化レベル
・集客
・町の賑わい
的なフレーバーを持つカードに名声点が割り当てられている
名声点を支払う場合は市民の支持を損なうようなテーマがあてがわれやすい
さっきの写真の保税倉庫が好例
⑤経路の置き換え―建設チーム,近代化事務局
建設チーム=1名声点と3粘土を得る。小道1枚を道路1本への無料で置き換える。
近代化事務局=1枚以上の道路と隣接していて、印刷済の小道の置き換え数が0/1/2本のとき、4/6/8名声点を得る。
ややこしい記載だが、「無料の置き換えボーナス」と「置き換え回数に応じて得点」と記してある
本作、すでに配置してある小道を無料で除去でき、別なタイルを敷くことができる
普通に1手かかるし、建設コストも正規で支払うので基本的に手損
「どうしても起動効果を得たい人用の救済措置」って感じだったが
この2枚をはじめとして、Cデッキは置き換えを意識させるカードが多い
馬車停留場=2枚以上の道路と隣接していて、かつボード上に小道より多くの道路があるなら、4金と3名声点を得る。
計画開発局=1枚以上の道路と隣接しているなら2粘土を得る。ボード上の最も種類の少ない経路1枚ごとに1金を得る。
鉄鋼会社=小道と隣接していないなら、持っている鉄2個につき1回、鉄1つを4名声点に交換できる。
工業用住宅=2枚の道路か2枚の線路か2枚の運河と隣接している建物1枚につき1名声点を得る。
上記は小道を別な経路に置換させる方向性の4枚
フレーバーとしては小道=未舗装の生活道路であり、小道をより機能的な道路に作り変えるCデッキでプレイヤーが担うのは「近代的で計画的な設計、効率的な都市計画」って感じ
「計画開発局」「近代化事務局」など、建物名と挙動が合致していて好印
⑥フル起動欲をあおる―中間鉱石倉庫,鉱石加工会社,鉱石貯蔵所
中間鉱石倉庫=1回目の起動で4鉱石を得る。2回目の起動で2/4鉱石を支払い、7/10金を得る。
鉱石加工会社=2道路と隣接するとき、1/2回目の起動で、4/1鉱石を支払い、8名声点を得る。
鉱石貯蔵所=2線路と隣接するとき、1/2回目の起動で、3/5鉱石を支払い、4/12名声点を得る。
建物は、
・経路4枚で囲い切る
・橋2個と接続する
で起動する
全建物中、ざっくり半数が2回起動はできない
(両プレイヤー合わせて橋は12-14本。建物11枚建てて6橋取れたとしたら、5-6枚のみ起動)
「建てたからには全部2回起動させたいよね
でも全部起動させる手数は用意されてないよ」
と欲求を煽る構造なのだが
この3枚はさらに、
「建てたからには2回目の起動までいけると本当にお得だよ」
と煽っている
このゲーム、感想戦で、
「なんでなんだろ、鉱石が大事なときにいつもちょっと足りなくなる
全然使ってるつもりないのに」
とクレカ浪費マンのような台詞が発せられがちなのだが
この3枚をはじめとした高効率カードの起動コストが軒並み鉱石で、そこで支払っている影響が大きいと思われる
(6)総評
ウヴェの傑作群と比べてしまうのはやや荷が勝つが、見るべきところのある良作だと評価する
・1-2人用というレンジの狭さ
・カードの強弱がややラフ
この2点は明白な短所
ただ、アルルの丘(2014)の紅茶と貿易拡張(2017)(2人専用のアルルの3人戦拡張)のように、人数を増やす余地もある
Fields of Arle: Tea & Trade (2017)
シュピールヴォルクス社がもし売上に対して手ごたえを感じているなら、そういった拡張も出され得ると思われる