ブログを開始してから約4年が経過したため、所感を記載する
対象とする読者は特に想定していない
なお、例年同時期に同じ趣旨の記事を作成している
以下リンクを貼っておく
1年を通じての雑感 @2018/11/1
http://takewatch.blog.jp/archives/925077.html
ブログ開始2年目の雑記@2019/11/27
http://takewatch.blog.jp/archives/4313672.html
ブログ開始3年目の雑感 @2020/11/11
http://takewatch.blog.jp/archives/6552307.html
本ブログは、主に遊んだゲームの構造を読解するためにやっている
ゲーム周りで記したいことは過去3回でだいたい書き尽くしたため、今回は仕事の話を記す
仕事=精神科の診療/カウンセリング
ボードゲームと同じく数年間リソースを割いており、ある程度ノウハウが蓄積した
本記事では面接場面でよく提示する助言を列記し、自分の思考のまとめを行う
※本記事は「ちょっと困っている」くらいの方向けに最適化された内容
すごく困っている人とか、全く困っていない人にとってはあまり有益でないと思われる
―――
①受動態は捨てる
②期待しない/期待に応えない
③自分の機嫌を取る/他人の機嫌を取らない
④ゲームルールの明確化
⑤重要な他者のルール把握
⑥自他のルールをすり合わせる
⑦「攻撃されている」は捨てる
⑧困っていない人は変われない
⑨外部ツールに頼る
⑩最後に
――――
①受動態は捨てる
「~される」という文が脳内に浮かんだ場合、全部「~する」に直した方が良い
その方が問題を解決しやすいため
・上司に「お前は無能だ」と言われる
・ご近所からなっていないと思われる
・親にがっかりされる
これらは不適切な/非機能的な思考
全部能動態に直そう
・上司はあなたを無能だと評価する可能性がある
・ご近所のXさんはあなたの行動を見てあまり喜ばない可能性が高い
・親はあなたに対して勝手に期待していたが、それと異なるあなたの行動について、親は喜ばない可能性が高い
上司、同僚、親家族、近所の人間
上記のような重要な他者を、人はだいたい5-20人くらい持っている
主語が欠落した受動態を主語アリの能動態に直すと、重要な他者と程よい距離を保ちやすくなる
重要な他者を相対化できると、人生のゲームルールがシンプルに保ちやすい
シンプルなゲームはクソゲー化しづらい
②他人に期待しない/他人の期待に応えない
さっきの亜種だが、「他人に期待されている」も受動態思考
「他人が勝手に期待している」くらい客体化できると、判断が早く正確になる
相手に期待する=相手が特定のアクションを選ぶと勝手に予想する
であり、ゲームの勝利から遠ざかりやすい思考
白ブラスにおいて、他人のビール供給を期待して建てた窯元はそうそう裏返せない
上家にスタプレ取ってもらえる前提で打つアグリコラはたいてい事故る
photo:https://boardgamegeek.com/image/5605296/brass-birmingham
③自分の機嫌は自分で取る/他人の機嫌を取らない
良い感情をキープできるとほぼメリットしかなく、費用対効果がとても高い
効能さまざまあるが、
・重要な他者が機嫌よく過ごす可能性アップ
・機嫌が悪い人と新たに関わり合いになってしまうリスクダウン
の2点が最大の利点だと思われる
良い感情の保ち方は人の数だけ無数に存在するが
筆者だと、前項の「他人に期待しない」の徹底がコツだと感じている
他人に期待する→裏切られる→不機嫌や怒りの発生 は悪感情RTAの最速チャートであり、可能なら封鎖すると良い
④自分のゲームのルールを明確化する
・何をしたいのか
・何をしたくないのか
をより具体的に、細かく伝えてもらえると面接を進めやすい
⑤重要な他者のルールを明確化する
重要な他者とは、定期的に会って意思疎通を取る必要がある人間のこと
自分のルールの明確化と同じぐらい、彼らのルール理解は重要
相手のルールを聞く際、
「そういったことを訊くのは失礼だ、恥ずかしい、面倒だ、億劫だ」
的な感情が生じる可能性があるが
重要な他者から適切な関心を向けられると、良い感情が生じるように人間はデザインされている
多くの場合明確化を嫌う感情は無視した方が良い
⑥自他のルールの共通点を探す/増やす/すり合わせる
診察場面では、練習がてら筆者とクライアントのルールをすり合わせてみることが多い
たいていの場合、
・クライアントは治りたい
・筆者も治ってほしい (治る経過を見るととても良い感情が生じるため)
・クライアントは何年も通いたくない、薬はあまり飲みたくない
・筆者も必要十分の期間と処方量にとどめたい、ダラダラやりたくない (雇われの身で固定給であり、長期通院や処方量アップによるメリットがないため)
このあたりのすり合わせは容易だ
ルールの明確化に続いて、
・クライアントは自分の状態や要望を正確に伝える、無意味な嘘はつかない
・筆者も、「あなたが取れる選択肢はこれで、これを選ぶとこうなる可能性が高い」みたいな将来の展望を、知りうるものは隠さず伝える
など、いくつか約束を行う
治療同盟の締結とも言える
もしこの時点で自他のルールが大きく異なるなら、その二者関係は継続しない方がお互い幸福だと思われる
⑦「攻撃されている」と感じる場合、たいてい相手は攻撃意図がない
「攻撃されている」も受動態思考なので捨てると良い
単純に言い換えると「相手はあなたを攻撃している可能性がある」となる
が、もう少し解像度を上げて、
「あなたのルールと相手のルールには著しい相違点がある
その違いがお互いの不快な感情を生じている」
これがもっとも正確である場合が多い
たいていの対人トラブルは自他のゲーム構造の違いとその違いへの無理解から生じる
ただしごくまれに、相手を苦しめたくてわざと攻撃する人間はいる
それはヤバい人なので、波風立てずに関係を絶てると良いと思われる
⑧困っていない人は変われない
特定の相手に改善してほしいと感じる場合がある
行動を変えるにはルールを変えてもらう必要があるのだが
相手が困っていないかぎりルールはそうそう変えてくれない
はたから見てどれだけ不合理なルールデザインでも、相手のゲームが矛盾なく回ってしまっているなら、部外者はルールをいじれない
強い命令や脅しによって一時的に挙動が変わることがあっても、根底のルールが同じなら外圧が解ければすぐ元に戻る
その人自身が困っていて、かつ自分のルールを書き換える意志・能力・環境に恵まれていれば、変わる可能性は高い
クライアントは困りを自覚し受診する場合がほとんどで、変わる余地がある
「家族に連れられて渋々きました」タイプは本人が困っておらず、うまくいかないことが多い
⑨自分でルールを決めにくいなら外部ツールに頼る
ルールを明確化しろと言われても面倒だ、手間だ、言語化できない
そういう場合は、他人のルールを借りても良い
本を読むなりなんなりして、適当な先人の思考をインストールするわけだが
だいたい、
・哲学/啓蒙書
・自己啓発本
・宗教
あたり
どれが上等/下等ということはなく、自分に合ってさえいれば形式はなんでもいいと思われる
哲学書はお金の負担が少なく、買い切りに近いのが大きなメリット
反面、本人の負担が大きいのがデメリット、本を読むのは大変
自己啓発本、宗教は労力や初期コストが少なく、手軽
ただしサブスク的に定期的な維持費が発生することがほとんどで、金銭・時間コストが足かせとなる
⑩最後に
アウトプットして気づいたが、自分の方法論はかなり認知行動療法とプラグマティズム(実践主義)に寄っており、ややバランスが悪い
「言語化できない感情をそのままにしといた方がいい」みたいなケースも一定ある
特に子どもが相手だととても多いのだが
そういう状況でも言語化絶対正義マンとして動いてしまっている可能性がある
また、困っていないと変われないのは自分へのブーメランでもある
困れるチャンスを見過ごして、適切な変化をしないまま長くやっているだけの人は一般に老害と呼ばれる
見ていてとてもつらいものなので、制作においても仕事においても、できれば老害にだけはなりたくない
今後も継続してリソースを費やして改善を試みるものの、どうなるかは予測できない
対象とする読者は特に想定していない
なお、例年同時期に同じ趣旨の記事を作成している
以下リンクを貼っておく
1年を通じての雑感 @2018/11/1
http://takewatch.blog.jp/archives/925077.html
ブログ開始2年目の雑記@2019/11/27
http://takewatch.blog.jp/archives/4313672.html
ブログ開始3年目の雑感 @2020/11/11
http://takewatch.blog.jp/archives/6552307.html
本ブログは、主に遊んだゲームの構造を読解するためにやっている
ゲーム周りで記したいことは過去3回でだいたい書き尽くしたため、今回は仕事の話を記す
仕事=精神科の診療/カウンセリング
ボードゲームと同じく数年間リソースを割いており、ある程度ノウハウが蓄積した
本記事では面接場面でよく提示する助言を列記し、自分の思考のまとめを行う
※本記事は「ちょっと困っている」くらいの方向けに最適化された内容
すごく困っている人とか、全く困っていない人にとってはあまり有益でないと思われる
―――
①受動態は捨てる
②期待しない/期待に応えない
③自分の機嫌を取る/他人の機嫌を取らない
④ゲームルールの明確化
⑤重要な他者のルール把握
⑥自他のルールをすり合わせる
⑦「攻撃されている」は捨てる
⑧困っていない人は変われない
⑨外部ツールに頼る
⑩最後に
――――
①受動態は捨てる
「~される」という文が脳内に浮かんだ場合、全部「~する」に直した方が良い
その方が問題を解決しやすいため
・上司に「お前は無能だ」と言われる
・ご近所からなっていないと思われる
・親にがっかりされる
これらは不適切な/非機能的な思考
全部能動態に直そう
・上司はあなたを無能だと評価する可能性がある
・ご近所のXさんはあなたの行動を見てあまり喜ばない可能性が高い
・親はあなたに対して勝手に期待していたが、それと異なるあなたの行動について、親は喜ばない可能性が高い
上司、同僚、親家族、近所の人間
上記のような重要な他者を、人はだいたい5-20人くらい持っている
主語が欠落した受動態を主語アリの能動態に直すと、重要な他者と程よい距離を保ちやすくなる
重要な他者を相対化できると、人生のゲームルールがシンプルに保ちやすい
シンプルなゲームはクソゲー化しづらい
②他人に期待しない/他人の期待に応えない
さっきの亜種だが、「他人に期待されている」も受動態思考
「他人が勝手に期待している」くらい客体化できると、判断が早く正確になる
相手に期待する=相手が特定のアクションを選ぶと勝手に予想する
であり、ゲームの勝利から遠ざかりやすい思考
白ブラスにおいて、他人のビール供給を期待して建てた窯元はそうそう裏返せない
上家にスタプレ取ってもらえる前提で打つアグリコラはたいてい事故る
photo:https://boardgamegeek.com/image/5605296/brass-birmingham
③自分の機嫌は自分で取る/他人の機嫌を取らない
良い感情をキープできるとほぼメリットしかなく、費用対効果がとても高い
効能さまざまあるが、
・重要な他者が機嫌よく過ごす可能性アップ
・機嫌が悪い人と新たに関わり合いになってしまうリスクダウン
の2点が最大の利点だと思われる
良い感情の保ち方は人の数だけ無数に存在するが
筆者だと、前項の「他人に期待しない」の徹底がコツだと感じている
他人に期待する→裏切られる→不機嫌や怒りの発生 は悪感情RTAの最速チャートであり、可能なら封鎖すると良い
④自分のゲームのルールを明確化する
・何をしたいのか
・何をしたくないのか
をより具体的に、細かく伝えてもらえると面接を進めやすい
⑤重要な他者のルールを明確化する
重要な他者とは、定期的に会って意思疎通を取る必要がある人間のこと
自分のルールの明確化と同じぐらい、彼らのルール理解は重要
相手のルールを聞く際、
「そういったことを訊くのは失礼だ、恥ずかしい、面倒だ、億劫だ」
的な感情が生じる可能性があるが
重要な他者から適切な関心を向けられると、良い感情が生じるように人間はデザインされている
多くの場合明確化を嫌う感情は無視した方が良い
⑥自他のルールの共通点を探す/増やす/すり合わせる
診察場面では、練習がてら筆者とクライアントのルールをすり合わせてみることが多い
たいていの場合、
・クライアントは治りたい
・筆者も治ってほしい (治る経過を見るととても良い感情が生じるため)
・クライアントは何年も通いたくない、薬はあまり飲みたくない
・筆者も必要十分の期間と処方量にとどめたい、ダラダラやりたくない (雇われの身で固定給であり、長期通院や処方量アップによるメリットがないため)
このあたりのすり合わせは容易だ
ルールの明確化に続いて、
・クライアントは自分の状態や要望を正確に伝える、無意味な嘘はつかない
・筆者も、「あなたが取れる選択肢はこれで、これを選ぶとこうなる可能性が高い」みたいな将来の展望を、知りうるものは隠さず伝える
など、いくつか約束を行う
治療同盟の締結とも言える
もしこの時点で自他のルールが大きく異なるなら、その二者関係は継続しない方がお互い幸福だと思われる
⑦「攻撃されている」と感じる場合、たいてい相手は攻撃意図がない
「攻撃されている」も受動態思考なので捨てると良い
単純に言い換えると「相手はあなたを攻撃している可能性がある」となる
が、もう少し解像度を上げて、
「あなたのルールと相手のルールには著しい相違点がある
その違いがお互いの不快な感情を生じている」
これがもっとも正確である場合が多い
たいていの対人トラブルは自他のゲーム構造の違いとその違いへの無理解から生じる
ただしごくまれに、相手を苦しめたくてわざと攻撃する人間はいる
それはヤバい人なので、波風立てずに関係を絶てると良いと思われる
⑧困っていない人は変われない
特定の相手に改善してほしいと感じる場合がある
行動を変えるにはルールを変えてもらう必要があるのだが
相手が困っていないかぎりルールはそうそう変えてくれない
はたから見てどれだけ不合理なルールデザインでも、相手のゲームが矛盾なく回ってしまっているなら、部外者はルールをいじれない
強い命令や脅しによって一時的に挙動が変わることがあっても、根底のルールが同じなら外圧が解ければすぐ元に戻る
その人自身が困っていて、かつ自分のルールを書き換える意志・能力・環境に恵まれていれば、変わる可能性は高い
クライアントは困りを自覚し受診する場合がほとんどで、変わる余地がある
「家族に連れられて渋々きました」タイプは本人が困っておらず、うまくいかないことが多い
⑨自分でルールを決めにくいなら外部ツールに頼る
ルールを明確化しろと言われても面倒だ、手間だ、言語化できない
そういう場合は、他人のルールを借りても良い
本を読むなりなんなりして、適当な先人の思考をインストールするわけだが
だいたい、
・哲学/啓蒙書
・自己啓発本
・宗教
あたり
どれが上等/下等ということはなく、自分に合ってさえいれば形式はなんでもいいと思われる
哲学書はお金の負担が少なく、買い切りに近いのが大きなメリット
反面、本人の負担が大きいのがデメリット、本を読むのは大変
自己啓発本、宗教は労力や初期コストが少なく、手軽
ただしサブスク的に定期的な維持費が発生することがほとんどで、金銭・時間コストが足かせとなる
⑩最後に
アウトプットして気づいたが、自分の方法論はかなり認知行動療法とプラグマティズム(実践主義)に寄っており、ややバランスが悪い
「言語化できない感情をそのままにしといた方がいい」みたいなケースも一定ある
特に子どもが相手だととても多いのだが
そういう状況でも言語化絶対正義マンとして動いてしまっている可能性がある
また、困っていないと変われないのは自分へのブーメランでもある
困れるチャンスを見過ごして、適切な変化をしないまま長くやっているだけの人は一般に老害と呼ばれる
見ていてとてもつらいものなので、制作においても仕事においても、できれば老害にだけはなりたくない
今後も継続してリソースを費やして改善を試みるものの、どうなるかは予測できない