風来のシレン6(2024)は、ローグライクジャンルのデジタルゲーム、不思議のダンジョン2 風来のシレン(1995)のシリーズ最新作。
読み解くべき価値を感じたため記事化する。
シレンやトルネコなど、不思議のダンジョンシリーズを多少なり触ったことがある人間を読者として想定している。
不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録(2024,スパイク・チュンソフト)
(1)魅力
①シビアな持ち物管理
②持ち物の圧迫ストレス→マゼルンとお店による解放
③鑑定タスクの消化
読み解くべき価値を感じたため記事化する。
シレンやトルネコなど、不思議のダンジョンシリーズを多少なり触ったことがある人間を読者として想定している。
不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録(2024,スパイク・チュンソフト)
(1)魅力
①シビアな持ち物管理
②持ち物の圧迫ストレス→マゼルンとお店による解放
③鑑定タスクの消化
④食料とレベルのトレードオフ
⑤持ち物スロットの疑似的な拡張
⑥フロア移動直後の危機
⑦死=緊張の最高潮
(2)ボードゲームとの比較検討
①カタン:建設資源のため込み⇔盗賊のリスク
②チケット・トゥ・ライド:列車カードのため込み⇔他者の先行リスク
③グレートウエスタントレイル:持ち物スロットとしてのウシ、マゼルンとしてのカンザスシティ
(3)私的雑記
(1)魅力⑤持ち物スロットの疑似的な拡張
⑥フロア移動直後の危機
⑦死=緊張の最高潮
(2)ボードゲームとの比較検討
①カタン:建設資源のため込み⇔盗賊のリスク
②チケット・トゥ・ライド:列車カードのため込み⇔他者の先行リスク
③グレートウエスタントレイル:持ち物スロットとしてのウシ、マゼルンとしてのカンザスシティ
(3)私的雑記
要旨は以下。
・持ち物スロット
・満腹度ゲージ
所持上限の厳しい上記2リソースを管理しつつ、
・レベルアップ
・剣盾の強化
・未識別品の鑑定タスク進行
上記3パラメータを高めていく。
このリソース管理の悩ましさとタスク達成の快感が本作の最大の魅力。
・満腹度ゲージ
所持上限の厳しい上記2リソースを管理しつつ、
・レベルアップ
・剣盾の強化
・未識別品の鑑定タスク進行
上記3パラメータを高めていく。
このリソース管理の悩ましさとタスク達成の快感が本作の最大の魅力。
①シビアな持ち物管理
シリーズ共通して24個しかアイテムを持てない。
武器防具、腕輪、矢といった装備品を除くと正味20個程度。
武器防具、腕輪、矢といった装備品を除くと正味20個程度。
たった20個の枠に、
・食料(飢え死に対策)
・巻物と草(モンスターハウス(大きな危機)対策)
・杖(強い単体(小さな危機)対策)
・合成用の剣盾(+1~3の修正値や有用な特殊効果)
・未識別アイテム
など数多の必需品が殺到する。
・キツい縛りのもと何を残すか選ぶ、取捨選択の悩ましさ
・その判断の成否についての素早い結果返し、テンポの良さ
このあたりがシリーズ共通の魅力で、大きな中毒性を生んでいる。
またこれに関連してアイテムドロップ自体のガチャ的な魅力も大きい。
毎フロア5-10個程度落ちており、途切れることなくガチャを引かせてくれる。
麻雀のツモでもFortniteのチェスト(宝箱)でもオートチェスでのリロールでもなんでも良いが、テンポよくガチャを引かせてくれるゲームは熱中を生みやすい。
Fortnite(2017)
・キツい縛りのもと何を残すか選ぶ、取捨選択の悩ましさ
・その判断の成否についての素早い結果返し、テンポの良さ
このあたりがシリーズ共通の魅力で、大きな中毒性を生んでいる。
またこれに関連してアイテムドロップ自体のガチャ的な魅力も大きい。
毎フロア5-10個程度落ちており、途切れることなくガチャを引かせてくれる。
麻雀のツモでもFortniteのチェスト(宝箱)でもオートチェスでのリロールでもなんでも良いが、テンポよくガチャを引かせてくれるゲームは熱中を生みやすい。
Fortnite(2017)
②持ち物の圧迫ストレス→マゼルンとお店による解放
マゼルンとお店という2大お楽しみ要素がある。
これらとの遭遇はプレイヤー感情に大きな高揚をもたらす。
マゼルンは大蝦蟇(オオガマ)の妖怪をモチーフにしたガマガエルのモンスターで、武器や防具を合成してくれる。
合成によって、
これらとの遭遇はプレイヤー感情に大きな高揚をもたらす。
マゼルンは大蝦蟇(オオガマ)の妖怪をモチーフにしたガマガエルのモンスターで、武器や防具を合成してくれる。
合成によって、
・自身の少しの永続的な強化
・持ち物スロットが1個再利用可能に
と一度で2つのメリットが生じる。
単一の工程が複数の意味を持っており、機能美がある。
お店も、
単一の工程が複数の意味を持っており、機能美がある。
お店も、
・9個の売り物(比較的高レアリティ)の購入
・未識別品の鑑定
・売る用に取っておいた腕輪や剣盾の換金
と、これもひと粒で2-3度おいしい。
識別と換金により、大量にアイテムスロットを空けることができる。
識別と換金により、大量にアイテムスロットを空けることができる。
③鑑定タスクの消化
お店はレッド、マゼルンはイエローと鮮やかな配色であり、視覚的にもプレイヤーの高揚を高めてくれる。④食料とレベルのトレードオフ
持ち物スロットと並ぶ2大管理要素が満腹度ゲージ。
満腹度はターン経過で減っていく。
1フロアをくまなく探索すると50程度、探索後ターン制限ギリギリまでレベリングするとさらに100程度満腹度を消費する。
満腹度はターン経過で減っていく。
1フロアをくまなく探索すると50程度、探索後ターン制限ギリギリまでレベリングするとさらに100程度満腹度を消費する。
満腹度は100までしかスタックされないので、おにぎり(満腹度を50-100個回復する)などの消費アイテムを持つ必要がある。
ここでは満腹度ゲージの外的な延長としてアイテムスロットが費やされている。
ここでは満腹度ゲージの外的な延長としてアイテムスロットが費やされている。
満腹度がゼロとなるとApexの安地外やドラクエの毒状態のようなスリップダメージが入り、基本的にゲームオーバーとなる。
特に冒険の最序盤において、
「メシの余裕はない…
が、次の階層の安定攻略のためにある程度レベリングもやらねば…」
と食料とレベルのシビアなトレードオフが成立する。
「メシの余裕はない…
が、次の階層の安定攻略のためにある程度レベリングもやらねば…」
と食料とレベルのシビアなトレードオフが成立する。
食料のドロップ率は、地味ながらデザイン上かなり重要な事項と思われる。
満腹度ゼロでおにぎりや草を求めてダンジョンをさまよう体験は全く楽しくないため、頻発させるべきではない。
あくまで「欲張りすぎた際にまれに発生するペナルティ」くらいにとどめるのが無難と思われる。
あくまで「欲張りすぎた際にまれに発生するペナルティ」くらいにとどめるのが無難と思われる。
ここで少しだけシレン6の話を掘り下げるが、同作は過去作と比べて食料ドロップがかなり甘い。
食料だけでなく復活の草(いわゆる残機。飢え死にすると消費され満腹度マックスで蘇生)も手に入りやすい。
食料⇔レベルの経済系が崩壊してしまっている。
またこれに関連して前述のマゼルンが、
食料だけでなく復活の草(いわゆる残機。飢え死にすると消費され満腹度マックスで蘇生)も手に入りやすい。
食料⇔レベルの経済系が崩壊してしまっている。
またこれに関連して前述のマゼルンが、
・過去作=特定の階層のみ出現
・シレン6=10F以後のほぼ全階層でごく低確率で出現
に変更されている。
これら2点により、
これら2点により、
過去作=メシが余裕、マゼルンが出る、合成アイテムがあるときだけ絞って長居。メリハリ◎
最新作=いつも制限いっぱいまでレベリング。冗長でテンポ×
となっている。
シレン6、ほぼ文句のつけようのない良作だと評価するが、この仕様から生じる99Fダンジョンの中盤以後の間延び感はかなり良くなく、好みから外れている。
最新作=いつも制限いっぱいまでレベリング。冗長でテンポ×
となっている。
シレン6、ほぼ文句のつけようのない良作だと評価するが、この仕様から生じる99Fダンジョンの中盤以後の間延び感はかなり良くなく、好みから外れている。
終盤の稼ぎ作業は眠気を伴う
⑤持ち物スロットの疑似的な拡張
持ち物スロットは絶対に24を越えないが、疑似的な拡張として、
・保存の壺
・最大満腹度の増加
がある。
保存の壺はマイクラでいうチェスト。
壺1つで3-5個のアイテムを保管でき、圧縮となる。
最大満腹度は初期100だが、最大200まで増やせる。
200までいくと食料枠を2-3個分程度減らす余裕が生じる。
がある。
保存の壺はマイクラでいうチェスト。
壺1つで3-5個のアイテムを保管でき、圧縮となる。
最大満腹度は初期100だが、最大200まで増やせる。
200までいくと食料枠を2-3個分程度減らす余裕が生じる。
⑥フロア移動直後の危機
緊張と緩和が周期的に用意されており、これも中毒性を高めている。
本シリーズは階段を下りた瞬間がいちばん死にやすく、緊張が高まる。
・敵に囲まれている
・モンスターハウスのどまんなか
などの窮地を、貯め込んだ巻物や杖をつぎこんで切り抜ける。
危機を脱すると今度はフロア探索の時間で、緊張から緩和フェイズに移行する。
⑦死=緊張の最高潮
危機を乗り越えられず死ぬ直前、緊張の極致に達する。
死によって緊張から解放されるわけだが、哀れなプレイヤーはこの救済を受け容れず、再度1Fから長い旅路を始めてしまい、寝不足シレン中毒ループがここに完成する。
・緊張と緩和のサイクル
・緊張の極致で死によってゲームを閉じる
この構造はApex Legends(2019)やFortnite(2017)にかなり近いものがある。
両作とも、
・目ぼしいランドマークに降り立つ
・物資を手早く漁る
・同じ地点に降下した敵と接敵
・最初の交戦に撃ち勝つ
と、ここまでが最初の緊張フェイズだ。
続いて、
・ドロップした物資を漁る
・マップの収縮円を見て、次の目標地点をおおまかに決める
・移動する
と緩和フェイズが来る。
その後も、
・収縮円の内部をめぐっての交戦(緊張)
・漁り&移動(緩和)
と両フェイズが周期的に繰り返される。
そして途中で死ぬ場合でもビクロイ(1位)を獲れた場合でも、緊張の極致でゲームが閉じる。
余談だが、同じシューターゲームのスプラトゥーン(2015)はこうした中毒ループ作りの鉄則、王道から大きく外れている。
ガチマッチでもナワバリバトルでも、マッチの最終局面に緊張のピークが来るような作りはしていない。大抵中盤には大勢が決まり、その差はあまり覆らない。
が、スプラにも十分な中毒性がある。
おそらくだが、2時間ごとにルールとマップが変わる点がリプレイ欲求に大きく寄与している。
プレイしながら必要なパーツを集めたり成長していくApexやシレンと違って、スプラは特に強化などなく、開始時に決めたブキとギアで5分間戦い続ける。
複数のマッチを繰り返しつつ「使える構成のうち、この条件下でいちばん勝率を上げられるのはどれか」を探していく。
デュオ・フルパの場合は味方との相性も見ながら決めていく。
この自分たちだけの局所的な最適解を探す試行錯誤が楽しい。
2時間というのがまた絶妙で、おそらく3,4時間だと長すぎるし、30分や60分だと足りない。
(2)ボードゲームとの比較検討
が、スプラにも十分な中毒性がある。
おそらくだが、2時間ごとにルールとマップが変わる点がリプレイ欲求に大きく寄与している。
プレイしながら必要なパーツを集めたり成長していくApexやシレンと違って、スプラは特に強化などなく、開始時に決めたブキとギアで5分間戦い続ける。
複数のマッチを繰り返しつつ「使える構成のうち、この条件下でいちばん勝率を上げられるのはどれか」を探していく。
デュオ・フルパの場合は味方との相性も見ながら決めていく。
この自分たちだけの局所的な最適解を探す試行錯誤が楽しい。
2時間というのがまた絶妙で、おそらく3,4時間だと長すぎるし、30分や60分だと足りない。
(2)ボードゲームとの比較検討
前項と関連づけられそうな作例をいくつか挙げる。
①カタン:建設のために多く持ちたい⇔盗賊のリスク
シレン2(2000)について、
「シレン2のシレン城建設ミニゲームはカタンから影響を受けた」
と制作チームの丸田さんが話されている*が、外付けのミニゲームだけでなく、コアのプレイフィール(中核をなすプレイ体験)も両作はわりと近い。
・街道や開拓地を建設する
・他プレイヤーとの交渉材料にする
・4枚→1枚の港交易を行う
あらゆるアクションに資源カードは必要で、あればあるほど良い。
が、手札が8枚以上となると盗賊イベントでロストするリスクが生じる。
8枚以上の手札を抱え、盗賊から逃げ切って自分の手番を迎え、開拓地を建ておおせた際には相当な気持ち良さが生じる。
開拓地はプレイヤーの資源産出力を高めてくれる。シレンにおける合成(プレイヤーの永久的な強化)と同型。
*出典:
小舟の先輩たちのインタビュー - 丸田康司さん - 小舟のインターン - ほぼ日の学生採用企画 (1101.com)
"すごろくや"代表が語る、テレビゲームにはないボードゲームの魅力とは? | Games (redbull.com)
Catan(1995)
②チケット・トゥ・ライド:
列車カードのため込み⇔他プレイヤーの先行リスク
・線路カードのドロー
・目的地カードのガチャ引き
・手札の線路カードのプレイ(線路の敷設)
のどれかを時計回りにやっていく。
詳述は避けるが、これも手札を集めるほど得点効率が向上する。
多く持ちたいが、
・最序盤の重要区間の取り合い
・最終盤の終了トリガーをめぐるレース
これらが資源集めにリスクを課している。
・目的地カードのガチャ引き
・手札の線路カードのプレイ(線路の敷設)
のどれかを時計回りにやっていく。
詳述は避けるが、これも手札を集めるほど得点効率が向上する。
多く持ちたいが、
・最序盤の重要区間の取り合い
・最終盤の終了トリガーをめぐるレース
これらが資源集めにリスクを課している。
③グレートウエスタントレイル:
持ち物スロットとしてのウシ、マゼルンとしてのカンザスシティ
プレイヤーらはすごろく形式でマップを進み、ゴールのカンザスシティを目指す。
その道中で手札のウシカードをきれいに整えていく。
ドローポーカーや麻雀の要領で、不要牌を捨ててはツモり、手役を作っていく。
ただ捨てるだけではなく、道中のサブアクションで特定のカラーのウシが必要になる。
よって手札が完成に近づくにつれ、打てるサブアクションにゆとりがなくなっていく。
カンザスにゴールすると手役が点数化され、高得点を取れると永続能力がアンロックされる。
手札上限を開放したり、1手番に歩ける歩数を増やせたりする。
この決算が終わると手札はリセットされ、プレイヤーコマは振り出しに戻される。
「振り出し→カンザス行を何度もループし、緊張→緩和を繰り返しながら種々の強化をもらってだんだん気持ち良くなっていく」というのがGWTのソロ方面の魅力だ。
この面白さはシレンの99Fダンジョン(裸一貫で1回だけ潜る)よりも、ストーリーダンジョンの周回(繰り返し潜って同じ装備を持ち越し、徐々に強化していく)により近いかもしれない。
なお3-4人の多人数戦より2-3人などの少人数戦の方が、こうした周回的な魅力が際立つ。
Great Western Trail: Second Edition (2021,初版2016)
持ち物スロットとしてのウシ、マゼルンとしてのカンザスシティ
プレイヤーらはすごろく形式でマップを進み、ゴールのカンザスシティを目指す。
その道中で手札のウシカードをきれいに整えていく。
ドローポーカーや麻雀の要領で、不要牌を捨ててはツモり、手役を作っていく。
ただ捨てるだけではなく、道中のサブアクションで特定のカラーのウシが必要になる。
よって手札が完成に近づくにつれ、打てるサブアクションにゆとりがなくなっていく。
カンザスにゴールすると手役が点数化され、高得点を取れると永続能力がアンロックされる。
手札上限を開放したり、1手番に歩ける歩数を増やせたりする。
この決算が終わると手札はリセットされ、プレイヤーコマは振り出しに戻される。
「振り出し→カンザス行を何度もループし、緊張→緩和を繰り返しながら種々の強化をもらってだんだん気持ち良くなっていく」というのがGWTのソロ方面の魅力だ。
この面白さはシレンの99Fダンジョン(裸一貫で1回だけ潜る)よりも、ストーリーダンジョンの周回(繰り返し潜って同じ装備を持ち越し、徐々に強化していく)により近いかもしれない。
なお3-4人の多人数戦より2-3人などの少人数戦の方が、こうした周回的な魅力が際立つ。
Great Western Trail: Second Edition (2021,初版2016)
(3)私的雑記
一般性の低い自分語りであり、読み飛ばし推奨。
友だちと遊べないゲーム
おそらく初めて自分の意志で選び取ったゲームがシレン/トルネコだった。
小さいころからゲームは好きで、
・スーパーマリオRPG(1996)
・ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド(1998)
・ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵(2001)
など熱中し、長く遊んだ。
が、今思い返すと、おそらく級友と遊べるのが熱中の最大の要因だった。
学校で話題に挙げて楽しく、友人の家に行って遊んでも楽しく、モンスターを交換したり対戦するのも楽しい。
反対に、シレンやトルネコは周囲の誰も遊んでいなかった。
「去年(2000年)に出たNintendo64のシレン2っていうゲームが面白いらしい」と、立ち読みしたVジャンプ(ゲーム紹介雑誌)か何かでたまたま見かけた。
ロクヨンはすでに旬を過ぎた機種(後継機のゲームキューブが2001年に発売)であり、やや迷ったが、どうしても遊んでみたかった。
親に無理を言って市内の中古ゲームショップ(当時は中古個人店の全盛期で、幹線道路には3kmごとに小さな店が建っていた)を回ってもらい、手に入れ、熱中してプレイした。
最終的に、
など熱中し、長く遊んだ。
が、今思い返すと、おそらく級友と遊べるのが熱中の最大の要因だった。
学校で話題に挙げて楽しく、友人の家に行って遊んでも楽しく、モンスターを交換したり対戦するのも楽しい。
反対に、シレンやトルネコは周囲の誰も遊んでいなかった。
「去年(2000年)に出たNintendo64のシレン2っていうゲームが面白いらしい」と、立ち読みしたVジャンプ(ゲーム紹介雑誌)か何かでたまたま見かけた。
ロクヨンはすでに旬を過ぎた機種(後継機のゲームキューブが2001年に発売)であり、やや迷ったが、どうしても遊んでみたかった。
親に無理を言って市内の中古ゲームショップ(当時は中古個人店の全盛期で、幹線道路には3kmごとに小さな店が建っていた)を回ってもらい、手に入れ、熱中してプレイした。
最終的に、
・風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!(2000)
・風来のシレンGB2 砂漠の魔城(2001)
・トルネコの大冒険2:GBA(2001)
・トルネコの大冒険3(2002)
と4作を狂ったようにプレイした。
友達と遊べるわけでもなく話のネタにもならないのにここまで熱中したゲームは、本作が初めてだった。
友達と遊べるわけでもなく話のネタにもならないのにここまで熱中したゲームは、本作が初めてだった。
ビックリの壺
ゲームについて話すこと、そして話すことで友人が増えたり交友が広がるのは、依然としてとても好きだったし、欲していた。
前述したとおりシレンやトルネコはそういった語りの喜びを与えてくれなかったが、ビックリの壺(ゲーム内に登場するアイテム)という公式のファンブック、今でいう同人誌に近いものがあり、それが需要を満たしてくれていた。
風来のシレン公式ファンブック ビックリの壺 | よもやまの壺 (kazenoko27.com)より
風来のシレン公式ファンブック ビックリの壺 | よもやまの壺 (kazenoko27.com)より
シレンにおいて、プレイヤーの感情曲線は死ぬ直前でピークに達する。
死に方は今でいうSNS映えするし、語り草になる。
ビックリの壺には読者投稿型の散り様コーナーが用意されていて、それがとても好きだった。
今でもいくつかのエピソードを暗記しているくらいに繰り返し、好んで読んでいた。
また伊集院光さん(1967-)やピエール瀧さん(1967-)らもシレンのファンを自称し著名人枠で寄稿されていた。
2000年前後はゲームやゲーマーに市民権がない時代だった。
30歳過ぎだった彼らはこの風潮に逆らい、
「ゲームは面白く、基本的に良いものだ。後ろ暗いもの、不健全なものだと決めつけるべきではない。自分たち大人も社会的な責務を果たしながら楽しんでいる」
と言語裡に肯定的なメッセージを発していた。
当時は言語化できなかったが、それが子ども心に嬉しかったのだと今では理解できる。
伊集院さん、瀧さんに対して今でもうっすらと親近感や好意を持っているが、この体験が起源なのだと思われる。
死に方は今でいうSNS映えするし、語り草になる。
ビックリの壺には読者投稿型の散り様コーナーが用意されていて、それがとても好きだった。
今でもいくつかのエピソードを暗記しているくらいに繰り返し、好んで読んでいた。
また伊集院光さん(1967-)やピエール瀧さん(1967-)らもシレンのファンを自称し著名人枠で寄稿されていた。
2000年前後はゲームやゲーマーに市民権がない時代だった。
30歳過ぎだった彼らはこの風潮に逆らい、
「ゲームは面白く、基本的に良いものだ。後ろ暗いもの、不健全なものだと決めつけるべきではない。自分たち大人も社会的な責務を果たしながら楽しんでいる」
と言語裡に肯定的なメッセージを発していた。
当時は言語化できなかったが、それが子ども心に嬉しかったのだと今では理解できる。
伊集院さん、瀧さんに対して今でもうっすらと親近感や好意を持っているが、この体験が起源なのだと思われる。
またこれらを承けて生じた「自分もゲームについて何か書きたい、作りたい」という感情、渇きは、消えない火種として残り続け、今の自分を強く形成している。
好きなゲームの魅力について饒舌に、理知的に、かつ熱情を持って語ることは当時の自分にとって何にもましてカッコよいことだったし、今でもそうあり続けている。